勉強のための大前提 その3①
「その点も、実咲に問題はなかった。」リコさん、また言う。
「アタシを初めて出迎えたとき、挨拶はできていた。
それとそのとき、中学のジャージとはいえ、服を着ていた。」
「当たり前じゃないの、
全裸で出る人いないでしょ! 」
私が言うと、意外にも太郎吉先生、笑いながら
「いや、大切なことじゃよ。
『服を着ていた』というのは、少なくとも生活習慣やルーティーンが
そこそこできていたということじゃ。
最近は、家では『裸族』なんていう者もおるそうだが、
洗濯も干すこともせず、面倒なことをしない言い訳を
『裸族』という言葉でごまかしとるだけだからの。
それから、簡単なことでも親が全部やってあげとるのも
『処理速度』を低下させ、生活の質を悪化させる。
たとえば、自分が使うものをなんでも親に取らせるという子どもじゃ。
始末の悪いことに、
子どもにやらせりゃいいものをなんでもやってあげて、
『自分は頑張っている親だ』と勘違いしておる。
ケンカしてでも『そのくらい、自分でやれ! 」と突き放さないと、
そのうち、子供が『息をするのも面倒だわ。』と言い出すわい。」
「さて、3つ目の条件で、ようやく勉強について触れられるわい。」
太郎吉先生は、2杯目のコーヒーに口をつける。
「それは、『読み』と『計算』ということだ。」




