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REZON 完全版 コトノハノ鏡 -秘められた神話の旅-  作者: 壇 瑠維
第1部 「神話の門」 第4章 

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「2025年宇宙の旅」 01

2025.5.30 10:00 東京・真理の研究室


 定例化しつつある研究室でのREZON3者会議。いつものメンバーが顔を揃え、現状報告と分析を行なっていた。


「まずは真理と桐生君、よくやってくれた。“門”が開き、凶器の供給も遮断された。これは大きい」


 マイクの評価に麗蘭が疑問を呈する。


「それはいいんだけど、別の凶器で犯行が続く可能性は無いの?」

「ほぼ無いだろうね。あの短剣に固執しないのであれば、既にこれまでにその兆候が見られていたはずだよ」


 マイクの意見にREZONのAIたちも同意を示す。


「それで、鐘巻さんが何らかの罪に問われる可能性はあるのかしら?」


 真理が宮本に尋ねる。


「本人の動機を聞く限り、新興宗教の祭祀に使用されると言う認識で作ったものであればグレーとは言え立件まではいかないだろう。それに、実態を知って関係を断ち切ったと言うのも大きい」

「その時は、よろしくお願いします」


 頭を下げる真理に宮本がうん、と頷く。


「次に僕が行なっていた分析から。“門”の候補場所だが、日本神話に所縁のある場所である可能性が高い。それを元に候補を出してみた。


 ・伊勢神宮(三重県)

 ・高千穂峰(宮崎県)

 ・橿原神宮(奈良)

 ・高野山(和歌山)

 ・伊弉諾神宮(兵庫県)

 ・白兎神社(鳥取県)

 ・熱田神宮(愛知県)


 これらについては後でSOPHIA、TRUTHの意見も取り入れたい」

「妥当なところね。じゃあ、最後に私から。その前に南、例のものを」

「はいっ!」


 南が大事そうに抱えていた小箱を恭しく麗蘭に差し出す。


「麗蘭、それは・・・?」


 自分たちが出雲で奮闘している時にも、麗蘭は警察と協力して何らかの重要証拠を手に入れていたのだろうか?皆が固唾を飲んで見守る中、小箱が開かれた。中に収められていたのは色とりどりの宝石・・・ではなくいかにも高級そうなケーキだった。


「千疋屋の季節限定フルーツタルトよ。さすが南、よくやったわね」

「光栄であります!」


 だから、そこで敬礼するな!心の中でツッこんだのは宮本だけではなかった。


「麗蘭、それは・・・?」


 先ほどと同じセリフを吐く真理だが、笑顔の上で青筋が切れそうになっている。


「ああ、成果に対する報酬の前払い。私の話を聞いたら、全員これぐらいしたくなると思うわ」


 平然とフォークを突き刺して口に運ぶ麗蘭。ふと、何かに気付いたようだ。


「紅茶が合うわね・・・」


 桐生が無言で席を立つ。行く先は言わずもがな、研究室の簡易キッチンだ。気が効くと言うよりも飼い慣らされている感が強い。


「じゃあ、そろそろ教えてもらいましょうか。麗蘭の素晴らしい成果とやらを」


 そろそろ限界に近づいた真理が精一杯平静を装った声で尋ねる。


「AI教の連絡方法と追跡を逃れている方法、ほぼ解明したわ」

「本当なのか!」


 マイクが熱のこもった声で叫んだ。


「ええ。そして“門”の候補にもある場所の、ある人物にコンタクトを取った内容まで掴んだわ」


 大手柄どころではない。これが本当なら、色んな意味でこちらが得たアドバンテージは大きい。


「で、その場所と内容って?」


 急かす真理を片手で制しながら、麗蘭は桐生特製の紅茶を優雅に口に運び、透き通るような声で告げた。


「宮崎県高千穂。天岩戸よ」



◇◇◇



2025.6.22(会議の約1ヶ月後) 新東京国際空港


 プライベートジェットから降り立ったマイクは、久々の日本の空気を堪能していた。あの二人と実際に会うのも何年振りか。迎えに来た黒塗りのリムジンの扉をドライバーが恭しく開いた奥から、意外な声が出迎えた。


「お久しぶり、マイク。やっぱいい男になったわね?」


 艶っぽい笑顔で声をかけてきたドレス姿の麗蘭にマイクは一瞬呆れたような顔を見せ、しょうがないなあと頭をかく。


「麗蘭、実際会うのは久しぶりなんだけど意外にそんな感じもしないね。で、これは何のサプライズだい?僕はこれからホテルでディナーの後寝るだけの予定なんだけど」


 麗蘭は大抵の男ならば瞬時に落ちずにはいられない笑顔を向け、マイクを車内に誘う。重々しい音と共に扉は閉じられ、車内には二人だけのプライベート空間が生まれていた。


「大人は大人同士、子供のいないところでゆっくりお話ししたいと思って」

「ここでかい?そんなに長い時間は取れないと思うよ」


 マイクにしなだれかかり、麗蘭が甘く囁く。


「できれば一晩中、愛について語り合いたい気分なの」

「麗蘭以外だったら放り出すセリフだけど・・・君はずるいな」


 軽くキスを交わし、マイクがSPに指令を出す。


「予定変更だ。ディナーは2人分、部屋も1名追加だ」


 リムジンは滑るように東京の夜に溶け込んでいった。

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