解説の終わり
その後もラオト達四人はシュミトからの考古学の話を聞き続けた。壁画から読み取れるヴェルンドの歴史、シンが指揮する黒鉄兵の進撃、魔王軍との戦いなど、壁画から読み取れる事をシュミトから解説してもらい、ものによってはその場面に関係する道具をシュミトから見せてもらうなどし、ラオト達はヴェルンドの歴史を楽しんだ。そして、すべての壁画の解説が終わったところで、シュミトによる考古学の解説は終了した。数時間に及ぶ解説であったが、魔法が日常となっているこちらの世界の歴史は、元いた世界の歴史と違う魅力があり、ラオトは飽きる事なく最後まで話を聞き続けていた。他の3人も各々違った楽しみ方をしていたようで、アレスはどこか懐かしむように、ホルスは実物を見ながら「自分だったらこうするな」と想像したり、ウィンディは今まで知らなかった裏事情を興味深そうに聞いたりと、それぞれ違った方法で考古学を楽しんだ。
「これにてワシからの解説は終わりじゃ、皆、お疲れ様じゃ!」
「いやぁー、楽しかった!歴史がこんなに壮大で複雑なんてね!私もハマっちゃうかも」
「シン率いる黒鉄軍が、魔王軍の要塞を次々に突破していくところはカッコよかったな!」
「あぁ!あそこはカッコよかった!シュミトの解説も聞きやすかったし」
「感謝するぞシュミト、我も久しぶりに懐かしい思い出を思い出せた」
「そう言ってもらえて嬉しいわい、ワシもお主らに解説した甲斐があったというやつじゃ」
その時、シュミトのローブの一部がぼんやりと光だした。
「お、ちょっと待っておれ」
シュミトはローブから光り輝く魔水晶の欠片を取り出すと、それを耳に当て、何やら誰かに喋り始めた。
「ふんふん、、、そうか、分かった、そっちに行くから待っておれ」
シュミトが輝きを失った魔水晶をローブに戻すと、今話していた内容をラオト達に話した。
「どうやら、キオンの城に行っておった兵士達が調査を終え、こちらに戻って来ているようじゃ、そこでなんじゃが、お主らも一緒に来てはくれぬか?城について一緒に話したいんじゃ」
「おぉ!帰って来てるのか!もちろん行くぞ、お礼も言いたいからな」
「そうか、それじゃあさっそく行くぞ、ワシについて来るんじゃ」
ラオト達はシュミトに連れられ壁画の広間を出ると、そのまま迷わずに暗い通路を進んで行き、本が沢山置かれた明るい書物庫へと戻ってきた。すると、そこには本を読んでゲラゲラ笑ってるスティアの姿があった
「わははははは!この悪魔、何回ドシしてるのよ!あははははは!」
本に夢中で気づかない隙に、ラオト達はスティアのすぐ横まで近づいていた。
「ぐふふふふ」
「、、、スティア?」
「ふふふ、あははは!」
「スティアー!」
ラオトの少し大きな声で、スティアはようやくラオト達の存在に気がついた。そこにアレスが居ることに気がつくと、即座に読んでいた本を隠し、目の前の本棚から適当な本を取り出した。
「あ、あれ?みんな、おかえり」
「堕天使よ、一体どんな本を読んでいたのだ?相当面白い本のようだが」
「え?い、いや?なんでもないよ?」
「堕天使がそんなに笑う内容、我は興味があるな」
「ななななな、なんでもないって!それよりみんな、考古学の話は終わったの?」
「あぁ、それでな、今から城からこっちに帰って来ている兵士と合流する予定なんだ、スティアも一緒に行くよな?」
そのラオトの誘いに、スティアは目を輝かせて、勢いよく返事した。
「もちろん!!あの兵士達とまた会えるんだよね?」
「あぁ、そうだな」
「行く行く!!!今すぐ行く!」
スティアは手に持っていた本を棚に戻し、誰よりも先に書物庫から外へ出た。その後をラオト達5人もついて行った。
連絡用魔水晶片
この世界に開く普及している携帯式の通信道具。
特殊な小さな魔水晶を二つに砕く事で作られる、この世界の主要な連絡手段の一つ。しかし、あまり性能は高くなく、通話や連絡ができるのは、魔水晶が二つに割られた時のもう片方のみとなっている。その為、基本的に対となるもう片方を連絡相手に直接渡す必要がある。
片方を紛失したり破損した場合、もう片方も使い物にならなくなってしまうため、扱いも慎重に行わなくてはならない。また、連絡したい相手が複数人いる場合、何個も数を持たなくてはならず、どれが誰用か分からなくなるのは、もはや日常茶飯である。
不便な点も多くあるが、この世界において遠くの者と連絡を取れる手段というのは非常に貴重で、安価ですぐ手に入り、さらに使いやすいという事もあり、一般人や冒険者、お偉いさんまで、人を選ばす幅広く使われている




