熱弁
スティアとアレスがいつものように言い争っていると、我慢できなくなったシュミトが、勢いよくアレスの前へと割り込んだ
「お主!お主は本当にこの印の対象者なのか!?」
「あぁ、残念なことにな」
アレスは、 自分がこの印の対象者という事をあまりよく思っていなかったが、それとは反対に、シュミトはとても興奮した様子でアレスへ詰め寄った
「残念などとんでもない!お主はこの事の価値が分かっておるのか!?」
「、、、」
アレスはシュミトの圧に負け、黙ってしまった
「分かってないようじゃな、それではワシが説明してやろう!」
そう言うと、シュミトは早口で皆に熱弁を始めた。
「いいか?この印は作るまでの工程が非常に大変なんじゃ、そんな中でもわざわざ印を作られるという事は、それは印の作者から相当警戒されていたという事じゃ、それほど警戒されておったら、普通はこの印を使い、真っ先に始末されてしまうんじゃが、お主は印を作られてから相当な年月が経ったにも関わらず、今この瞬間まで生きておるのじゃ!それに、ただ生きているだけでも希少だというのに、お主を警戒し、印を作ったのは魔王軍だったそうじゃないか!あの魔王軍から警戒され、そして今まで生き抜いてきたとなると、お主は相当に凄い悪魔なのじゃ!そうじゃ、せっかくならサインなど貰えぬか?」
多少の息切れと共に、シュミトはローブから羽ペンを取り出し、アレスに手帳と共に渡した
「この手帳の表紙に書いてくれんか」
「サインを求められるなど、初めてだな」
アレスはシュミトの手帳の表紙にスラスラとサインを書いた。
「これで良いか?」
シュミトはアレスから手帳を貰うと、その表紙に描かれたサインを見て、思わずうっとりした
「感謝するぞ!名前はアレスと言うのだな、この手帳は私の、いやヴェルンドの宝と任命し、大事に保管せねば!」
「えぇ!そんな物を町の宝にしちゃって大丈夫なのか?」
「、、、おっと、今のワシは考古学者のシュミトじゃったな、町の話は置いておいて、本当に感謝するぞアレス、ワシが考古学者になってから、今日が一番嬉しい日じゃ!」
「そんな風に言ってもらえるとは、我も今日まで生きてきた甲斐があったという物だな!」
アレスが上機嫌になっている横で、スティアはアレスに嫉妬していた。
「ずるい!私もアンタと同じくらい生きているはずなのに!」
「過去にサボってばかりいて、知名度をつけなかったからだな」
「そんなぁ、、、過去の私!!何やってんの!!」
「今更言ったところで、過去は変わらぬぞ」




