対天魔用魔力制限印
シュミトがローブから一枚の紙を取り出し、皆の目の前に広げようとした時、スティアが何かよからぬ事を企んでいる様子でシュミトに問いかけた。
「そういえば、前に私が見たあのマークについて、何か分かった?」
「おぉ、それもあったのう、それじゃあ、先にあのマークについてを話そうか」
スティアの問いかけにより、シュミトはあのマークの事を思い出し、ローブにしまっていた一冊の手帳を取り出した。
「、、、」
これから話される内容に、アレスは全く乗り気ではなかった。その心境は顔に出ており、アレスの顔は、睨んでいるような、都合の悪いような、なんとも言えない顰めっ面になっていた。アレスが不満ありげに佇む中、シュミトによるマークの解説が始まった。まずシュミトは、手帳に描かれたあの時のマークを、もう一度皆に見せた。しかし、そのマークがアレスの目に入る直前、アレスは急いで目を逸らし、適当な言い訳をつけてその場から離れようとした。
「あー、我はそのマークについては興味がないな、我は先に壁画でも見ておこう」
そう言うと、アレスは広間の壁に描かれた壁画へと歩いていった。
「どうしたんだ?アレス、いつもなら興味ない話でも聞くのに」
「まぁまぁ、アイツのことは放っておけばいいの!それよりおじさん、早くマークについて教えて!」
「そうじゃな、それじゃあ、、、オホン!このマークはじゃな、対天魔用魔力制限印と言われている物の一つじゃ」
「対天魔、、、なんだそれ?」
「名前の通り、天使と悪魔用の弱体化魔法陣の一種じゃ、弱体化させたい対象の弱点と、使用者の紋章が描かれていることが特徴じゃな。天使よ、お主が見た物は、黄色で描かれておったか?それとも黒だったか?」
「黒だったね」
「そうか、ならこの印は悪魔の誰か用に作られた物のようじゃな」
「へぇー、てことは、その悪魔の弱点はこの印を見る限り、剣士と魔法使いってことか?」
「そうじゃな、おそらくその悪魔は過去に剣士と魔法使いによって、かなり痛い目を見たようじゃな」
「なるほどな、そんで、この印の使用者は魔王軍って事か」
「そうじゃ、魔王軍はこの印の対象になった悪魔に手を焼いていたんじゃろう、それでこの印を使って、その悪魔を弱体化しようとしていたんじゃな」
「魔王軍がわざわざ印を作るほど追い込まれていたなんて、その悪魔は凄い強かったんだろうね」
「そうだな、その悪魔に直接会って、魔王軍と渡り合う術を教えてもらいたいよな」
「そうじゃなぁ、しかし、この印に描かれた魔王軍の紋章はかなり古いからのう、それほど前に生きていた悪魔なぞ、もはや今は生きておらぬだろう」
「それもそうだよな」
「、、、」
ラオト達の会話を聞いていたアレスは、少し誇らしげな気持ちになっていた
対天魔用魔力制限印
天使と悪魔にしか効果がない魔法陣の一種で、使用する対象の弱点となる物(トラウマになっている物など)と使用者の紋章の二つで、魔法陣が出来上がる。対象によって模様が違い、描かれた模様を分析する事で、誰に向けた魔法陣なのかを特定する事も可能。また、対象に弱点が複数個ある場合、弱点1の魔法陣と、弱点2の魔法陣のように、複数個作る事もでき、効果も重複する。
はるか昔から対天使と悪魔用に使われてきた魔法陣の一つで、最近はその強力すぎる効果、そして天使と悪魔の友好化に伴い、使用される事は殆どなくなった。
発動条件は複数個あり、それらは魔法陣に注がれた魔力の量によって変わる。魔力が少ししか注がれていないと目視した時しか発動しないが、魔力が大量に注がれると、魔法陣の半径300メートルまで効果を発動させられる




