違和感
アレスの昔話が終わると、5人の会話はキオンについて話すようになっていた。
「そういえば、城から出てきたキオンって体のどこにも傷が見当たらなかったけど、どうやって倒したの?」
「そういや、俺もそれを知らないんだよな、ラオトが魔法でキオンを埋めてたのは知ってるが、あれはどういう事だったんだ?」
「あぁ、あれはな、、、」
ラオトはキオンを地中に埋め、身動きを封じることができた魔法の仕組みを、できるだけ簡単に4人に教えた。しかし、そんな科学の世界の知識を4人が理解できる筈もなく、話を聞いた4人は首を傾げてばかりだった。
「つまり、キオンの立っている土に、ちょうどいい量の地下水を流し込んで、人工的に沼を作ったって事?」
「そういう事」
「へぇー!沼って水と土で人工的に作れたんだ!それに、沼にそんな使い方ができるなんて知らなかった!」
「沼ってその土地独自の地形だと思っていたが、まさか条件が揃えばどこにでも作れるなんてな、それに、大型の魔獣の動きを効果的に止められるなんて、、、かなり凄い発見じゃないか?」
「あぁ、この事が広まれば、対大型魔獣の戦術が大きく変わるだろうな」
「そ、そんなになのか?」
思った以上の皆の反応に、ラオトはこの世界の知識量がまだまだである事を思い知った。
「(この世界の人達が地形を活かした戦い方をしないのは、書物庫の本で見たからなんとなく知っていたけど、まさか沼の使い方と作り方だけでここまで反応するとは、、、これなら他の知識でも十分戦っていけそうだな、もっと他の案も考えておかないと)」
その時、何かを考えている様子のラオトを不思議そうに見ていたスティアが、ラオトの服にどこか違和感を感じ、輿から乗り出してラオトをじっくり観察した。
「じーーー」
「ど、どうしたんだスティア、俺の服に何か付いてるのか?」
「ラオトの服のブローチって、こんな感じだったっけ?」
「え?」
スティアに言われ、ラオトは服に付いているブローチを確認した。すると、以前は葉が生い茂る美しい木の模様だったのが、葉が落ち、枝が剥き出しの枯れた木の模様になっていた。
「あれ!?木が枯れてる!」
そのラオトの声に反応した他の3人も集まり、ラオト達はそのブローチについて話し始めた。
「なんでブローチの木が枯れてるんだ?俺なんかしたっけ?」
「キオンと戦っていて傷ついたとか?」
「床にぶつかった衝撃で葉が全部落ちたとかな」
「うーん、そんな簡単なものなのか?このブローチについて、トラウムさんに聞いておけばよかった、、」
「トラウム?その服ってグリンティアの町長が何か関係してるの?」
「あぁ、この服はトラウムさんから貰った服なんだ」
「へぇ、だからそんなに高性能なんだねー」
「なるほど、トラウムから貰った服というならば、そのブローチはただの飾りではなさそうだな、何か意味を持っていそうなものだが」
「うーん、、、」
ラオト達はそのブローチが意味することが何なのかについて考えたが、やはり何も思いつかなかった。
「まぁ、そのブローチも一応装備の一種なんだろ、なら装備屋とか行けば何かわかるかもしれないな」
「それもそうだな、ヴェルンドまではもうすぐだし、着いたらすぐに装備屋に行こ」
ラオト達がそう話していると、薄暗い霧の先に、ぼんやりとヴェルンドの町の城壁が見え始めた。




