お任せ
輿の上に座るスティアは、ラオト達が城の中にいた際に外で起こっていた出来事を、ざっとラオト達に説明した。
「つまり、ここに居るヴェルンドの兵士達は、スティアが呼んでおいた兵士達なんだな」
「その通りでございます!!我々黒鉄兵は勇者様御一行をお助けする為!ヴェルンドから大至急馳せ参じましたぞ!」
「黒鉄兵?ヴェルンドの兵士の事か?」
「そうよ、黒い金属を使った装備をしているからそう言われてるの」
「へぇ、かっこいいな」
「ありがたきお言葉です!それより、まさか本当に十災魔神のキオンを倒してしまわれるとは、、、恐れいりましたぞ!」
「あっ、城から出たキオンってどうなったんだ?兵士達には危害を加えてないっぽいけど」
「キオンは背中に魔王軍の兵士達を乗せ、山脈の奥へと逃げて行きましたぞ!これでもう我々の生活が脅かされる事もありませんな!」
「そうか、本当に約束を守ってるんだな」
ラオトは、キオンが魔王軍の兵士を連れ、プリズン山脈を離れた事を聞き、約束が無事に守られた事に安心した。しかし、それと同時に一つの疑問も浮かび上がった。
「(兵士達の喜び具合を見るに、キオンは本当に強かったんだろうな、けど俺の魔法であっさりと降伏した、、、確かに、大型の生物には効果的な作戦だったかもしれないけど、それでもキオンぐらいの強さの魔人なら抜け出す事もできたはずだよな、、、それに、真ん中の顔が魔法を使えたってことは、左右の顔も魔法を使えるはずなのに、さっきの戦いでは使ってこなかった。考えたくは無いけど、もしかして手加減されてたのか?でもなんで、、、)」
ラオトがキオンについて考えていると、門番がラオト達に一つ提案をした。
「皆様、特にキオンと戦った方々は、それはそれはお疲れでしょう、そこで、この城の事は我々に任せ、皆様は町に戻り、体を休ませてはいかがでしょうか」
「えっ!いいの?」
「はい、勿論でございますぞ!」
「確かに疲れたな、それじゃあ言葉に甘えて、町に戻る事にするよ」
キオンとの戦闘により疲れ切っていた3人は、門番の提案を即座に受け入れ、特にする事がなかったアレスもラオト達と共に町に帰る事にした。しかし、スティアだけは町に帰る事に反対した。
「ちょっと!私まだ指揮官らしい事してないんだけど!」
「え?じゃあスティアはここに残るか?」
「そうしたいんだけどさぁ、城の霧が消えてないんだけど、、、」
「城の霧、、、あっ、そういえば霧の発生源は見つかってないな」
「えぇ!?それじゃあ私、城の中に入れないじゃん!」
「城の外からじゃあダメなのか?」
「ダメ!兵士達に輿を担がせて、私自ら城に入らないと!」
「、、、今日は無理じゃないか?」
「えぇぇぇー、せっかく作ったのに、、、」
城の霧が晴れない事が分かったスティアは、渋々輿から降りると、悲しげに輿とお別れをし、ラオト達と共にヴェルンドへと帰っていった。




