援軍
城門付近へとやって来たスティアとアレスは、遠くからやって来る、黒い鎧を着た軍団を、今か今かと待っていた。
「堕天使があの門番を利用して呼んだ兵士達だな」
「フッフッフッ、どう?私ったら天才じゃない?」
「相手の心が読める天使と悪魔だったら、皆こうするだろう」
「はぁ?じゃあなんでアンタは門番に何も言わなかったの?何も思いついてなかったんじゃないの?」
「あの時の我は門番への誘導を長々と言えるような状況では無かったのだ。それに、誘導に関しては我よりも堕天使の方が得意だからな、適材適所というやつだ」
「はいはい、そーですか」
二人が話している間にも、兵士の軍団はどんどんとこちらに近づいて来ており、ついにスティアとアレスの目の前までやって来た。その軍団の先頭に立ち、後ろの兵士達を率いていたのは、あの時に会った門番であった。門番は城門付近に立っている二人を見つけると、二人の方へ向かって軍団を動かした。
「勇者御一行様!門での要請通り、キオンの城攻略に向けた援軍、黒鉄兵約八百人を用意致しましたぞ!」
先頭に立つ門番がそう叫ぶと、門番の後ろに立つ兵士達も手に持つ武器を掲げ「おぉぉぉ!!」と叫び、自分達のやる気をスティアとアレスに示し出した。
「おぉ!良い感じに集まったね!」
「既に準備は出来ております!我々を自由にお使いくだいまし!」
「えぇ!本当に良いの!?」
「もちろんでございます!偉大な勇者様御一行の方から指示をもらえるなんて、我々としても本望ですぞ!」
「そっかぁ!そーだよね!それじゃあ早速命令しちゃおっかな!」
「どんな命令でもお任せを!」
兵士達が最初の命令に期待する中、ついにスティアの口から命令が発令された。
「最初の命令、それは、、、ここで待機!!」
「ははっ!!、、、うん?」
兵士達は、城の中に突入するような過激な内容の命令を期待していたが、思いもよらない命令を命じられ、兵士達は少し混乱した。
「待機、、、ですかな?」
「えぇ、そうよ!」
「、、、理由をお聞きしても?」
スティアは、不満ありげな兵士達を納得させる為に、即興で嘘の物語を作り出し、その物語を兵士達に話した。
「実はね、、、今城の中では、他の3人の仲間達が、十災魔神のキオンと戦っているの」
「たった3人でキオンとですと!?」
「そう、それで私達二人は、その真剣勝負に邪魔が入らないように、ここで魔人達を追い払ってほしいって言われたの」
「なるほど、、、勇者様の真剣勝負を邪魔するわけにはいかない、という事ですな!」
「そう!だから私達は3人が帰って来るまで、ここで見張ってなくちゃいけないの!」
「なるほど!!承知致しましたぞ!!」
兵士達はスティアの嘘に納得し、その後は誰一人文句を言わなかった。ラオト達の帰りを待つ兵士達の横で、アレスはこっそりとスティアに話しかけた。
「なぜ兵士達を待機させたのだ?ラオト達と共に城を探索させた方が良かったのではないか?」
「今、兵士達が城に入ったら、私は城の外に置いてかれちゃうじゃん。ラオト達があの霧をどうにかしてくれて、私も城の中に入れるようになったら、城の中で私自ら兵士達に指揮を出すの。だからラオト達が帰って来るまで待ってなきゃ」
「、、、」
アレスは、スティアの身勝手すぎる理由に、絶句を通り越して、もはや呆れていた。
「、、、キオンなどこの城には居ないが、それはどう誤魔化すつもりだ」
「ラオト達が倒した後に、裏口から逃げていったとか言えば大丈夫でしょ」
「、、、堕天使に指揮を任せたのは間違いだったな」
黒鉄兵
所属、ヴェルンド
種族、ドワーフ
ヴェルンドの町を守る、黒い金属を使って作られた鎧と武器が特徴的な兵士。その黒い鎧はいかなる攻撃も通さず、その黒い剣や槍は魔王軍の強固な鎧や、魔獣の分厚い皮膚をも簡単に貫くという。また、装備だけでなく兵士一人一人も優秀で、過酷なプリズン山脈で長年過ごしたことによる身体能力と体力は、他の国や街の精鋭兵にも匹敵するという。
しかし、ちゃんと弱点もあり、その強さと引き換えに数が非常に少なく、町の兵士を全て集めても約千人程しかおらず、まさに少数精鋭なのである。また、兵士の種族がドワーフの為、魔法は使わずに、剣や槍による物理攻撃がメインとなる。その為、一部の敵には手も足も出ない事がある。




