開戦
援軍を含めた約三万のグラフィキィリの兵士達は、きたる敵襲に備えて万全の状態で待機していた。
「誰か、何か見つけたりはしてない?」
「、、、上空から見ているが、特に怪しい者達は居ないようだ」
グラフィキィリ防衛において、特に重要な役割を持つ援軍のリーダー達、ラオト達一行、グラフィキィリの官職達は、事前に渡された特別な魔水晶で連絡を取り合っていた。
「ったく、本当に来るのか?そんな気配は微塵もしないぞ」
「まさか、、、予告は嘘だった?」
「そうだったら嬉しいんだけど、、、」
「おい!もし敵が来なかったとしても、ちゃんと防具は用意しろよ!」
「分かってるよ。戦わなかったとしても、一応来てもらったもんね」
「でも、少しだけ報酬を下げていただく事は、、、」
「ダメだ」
「、、、」
「しょうがないよフェルサ、約束は約束だし」
「、、、そうですね、信用の為の必要経費という事にしておきましょうか」
「、、、むっ!あれは!!」
「おぉ!ついに来たのか!」
「、、、いや、ただの見間違いだ」
「ちょっと!」
「、、、チッ」
それからしばらくの間は何も起こらなかった。しかし、数十分後、ラオトは謎の気配を感じ取った。
「、、、うん?」
「ラオト君?どうしたんだい」
「何か感じる、、、」
「感じる?何をだ」
「グラフィキィリ周辺で、地面が動いてるような感じがする、、、」
「どういう事?地震?」
「いや、、、これは、、、」
「来たぞ!!!」
ラオト達の声を遮るように、魔水晶からケラヴノスの声が響き渡った。
町の外で敵襲に備えていたケラヴノスら鳥人は、グラフィキィリを囲うように接近する数万の軍団を見つけたのだった。その軍団には巨人や獣人、果てには魔獣まで、ありとあらゆる種族が入り混じっていた。その異様な軍団に、ケラヴノスら鳥人、そしてヴァマイら巨人達はより一層のやる気を漲らせていた。
「やっと来たか、、、お前ら!行くぞ!!」
「皆の者!巨人族に続け!!!」
敵へと急接近する巨人達と鳥人達は、敵陣に着くや否や攻撃を開始した。そして、それに負けじと敵方も攻撃を開始したのだった。
「ついに来たね、、、巨人達と鳥人達がある程度食い止めてくれるとは思うけど、もし町に侵入した敵がいたら、対処をお願いね」
「どうしよう、私外に援護に行こうかな」
「そうだね、こっち組は少し暇かも」
「、、、いや、敵は来てる!」
ラオトは感じ取っていた謎の気配の正体が何かに気づいたのだった。しかし、その時には既に遅かった。
「えっ!?町中に敵が、、、」
「おい!こっちにも居るぞ!」
なんと、敵はいつの間にかグラフィキィリ内に侵入していたのだった。それも巨人族や鳥人族の壁を通り抜けた極少数などではなく、一万程度の大軍が町に侵入していたのだった。
「何だって!?一体どこから、、、」
「、、、地中だね」
「地中?」
「さっき感じた気配は、敵が地中を土魔法で移動してる気配だったんだ、、、気づくのが遅れてごめん」
「大丈夫、元から町中で戦う手筈だったし、みんなも退屈してたみたいだしね」
「そうだね。じゃあ、私達も戦おっか!」
「おう!!」
「やっと出番だ!」
「ふん、せいぜい楽しませて貰おうか」
そう言い残し、四人の声は魔水晶から聞こえなくなってしまった。
「よし!私達も負けてられないよ!グラフィキィリの者として、やってやろう!」
「えぇ、ストレス解消にはうってつけですね」
「二人共頑張ってね」
そして、ペディとフェルサの声も聞こえなくなり、連絡用魔水晶にはフミフサとイレモス、そしてラオトの三人が残ったのだった。
「二人は妖精族の指揮をよろしくね。僕も、、、久しぶりに動こうかな」
「えっ?戦うの?」
「みんなに任せっきりは申し訳ないからね。という事で、二人共、頑張ってね」
そう言い残し、魔水晶からはフミフサの声も聞こえなくなっていった。
「、、、それじゃあ、僕達も頑張ろっか」
「あぁ」
ラオトとイレモスの二人も担当の妖精族に指示を出し、いよいよ敵との戦闘を始めようとしていた。




