精鋭部隊
その後、村人達からお礼となる物をそれぞれもらったラオト達は、グラフィキィリへ向かう旅路へと向かっていった。そして、その旅路へと繋がる村の端にはタルロスが立っていた。
「あれ、タルロスさん?タルロスさんもこっち方面へ進むの?」
「あぁ、グラフィキィリへ行こうと思っていてね」
「おぉ!俺達と一緒じゃないか!」
「そうなのか、では、旅路をご一緒しても良いかね、君達若者と話していると中々楽しくてな」
「もちろん!一緒に行こう!」
「あぁ、その道中、メオン属性の事をもっと聞かせてはくれぬか」
「良いぞ、では行こうか」
それから数日の間、ラオト達はタルロスと共に旅をした。共に魔獣を対処したり、昔の話を聞いたり、メオン属性の魔法を見せてもらったりと、一時的ではあるが楽しい旅路となった。しかし、他の四人がタルロスと打ち解けていく中、ラオトだけはいつまで経っても距離感が縮まらなかった。というより、タルロスの方からラオトを拒絶しているかのようだった。
「そうか、アレスも中々古株の悪魔なのだな」
「そうだな、もしかしたら、我々は昔に既に会った事があるのかもしれぬな」
「それどころか、私は君の生前にすら会った事があるかもしれないぞ」
「うーむ、生前の記憶を思い出せないのが惜しいな」
そんなことを話していると、ラオト達は遠くの道に鎧を着た大軍がいる事に気がついた。その大軍はどんどんとこちらに近づいてきているようだ。
「なんだ、あの軍勢」
「グラフィキィリの?いや、見た目が全然違うね。あれは、、、」
「、、、魔王軍だ」
遠くから近づいてくる軍勢をよく見ると、全ての兵が魔人で構成された魔王軍の軍勢だった。しかし、その軍勢はいつもの魔王軍と違い、赤と黒を基調とした装備を着用しており、布陣も剣士の前衛から魔法使いの後衛まで、しっかりとしたものとなっていた。また、それらの軍勢を率いる女の魔人も、キオンやブラキナと同等の威圧感を放っていた。
「魔王軍?なんかいつもと雰囲気が違くない?凄い威圧感というか、、、」
「あれは魔王軍の精鋭部隊だな、我も昔戦った事があるが、中々手強かった記憶だ」
「ついに本気で俺達を討伐しに来たのか、、、」
「私まだ死にたくないよ!?ここは潔く降参しよ!そうすれば命だけは、、、」
「いや、ここは私が引き受けよう」
そういうと、タルロスは杖を構えながらラオト達の前へと進んだ。
「おい、大丈夫なのか!?相手は中々やり手のようだぞ」
「そうだよ!私達も一緒に戦った方が勝てるかもしれないよ!」
「いや、私の魔法は皆を巻き込んでしまう。皆で戦うより私一人で戦った方が良い」
「ありがとタルロス!それじゃあ私達は行くね!」
「おい堕天使!」
「そうだ、それで良い。君達は別の道からグラフィキィリへと向かうんだ」
「、、、すまないタルロス」
「無事でいてね!」
そうして、ラオト達はタルロスを置いて来た道を引き返した。そして、ラオト達の姿が見えなくなった頃、タルロスのすぐ目の前に魔王軍の軍勢がやって来ていた。
「おや、彼らから離れてしまってよろしかったのですか?」
「あぁ、その方が私にとっても好都合だからな」
そう言うと、タルロスは指を鳴らした。その瞬間、どこからともなくタルロスと同じ青と黒を基調とした服装の人物が数人現れた。
「ありがとうございます、自ら正体を晒していただいて」
「晒すも何も、君達が私達を調べていた事ぐらい気づいていたさ」
「そうですか、では、私達が貴方を狙う理由もお分かりですね」
「あぁ、到底納得のいくものではないというのは知っているとも」
「、、、納得のいかない行動をしているのは貴方方の方ですよ」
この言葉の亀裂をきっかけに、タルロスと女の魔人は同時に大規模な魔法を放った。その攻撃はメオン属性を使っているタルロスの方に軍配が上がったが、女の魔人はタルロスの攻撃をかわし、反撃の魔法を放ったのだった。そして、お互いのリーダー達の衝突を皮切りに、側で待機していた兵士達も相手の兵士目掛け攻撃を開始したのだった。




