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異世界は想像通り?(旧 科学の知識で異世界旅)  作者: 察知
伝統主義者の乱

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動揺

杖の持ち方を変え、赤く光り輝く玉を前へ向けたゲニコスは、植物のモンスターへ向けて勢いよく杖を振った。その瞬間、その植物のモンスターの体が燃え始め、それと同時に吹き始めた強風の影響で、ゲニコスと戦っていた植物のモンスター達は一人残らず、全員炎に飲み込まれてしまった。燃え盛る植物達の残骸によって、もはや逃げられなくなってしまった両者は、炎の海の中で魔法を撃ち合っていた。

「、、、なぜ風属性と同時に火属性が使える、一つの命につき、使える属性は一つのはずだ」

「なら、答えは一つしかありませんよね?」

炎の勢いが強くなるのと共に、トラウムとゲニコスの戦いの勢いも激しくなっていった。攻撃魔法の量を増やし、辺りの炎を利用し、隙があれば大技を撃ち込む、そんな両者の攻防は、ほぼ互角と言ってもいい程に拮抗していた。

「君も、キオンのように複数の命が宿っているのか」

「残念不正解!ただ、惜しいとは言っておきましょうか」

「惜しいだと、どういう事だ」

激しく攻防を続ける中、トラウムは特殊な感知魔法を使用し、ゲニコスが複数属性使える謎を解こうとした。しかし、感知魔法が反応したのはゲニコスではなく、ゲニコスの持っていた杖だった。

「杖、、、なぜ杖に反応するんだ」

なぜかは分からないが、ひとまず複数属性使える事に杖が関係している事が分かったトラウムは、火属性の攻撃を止めさせる為、杖を集中的に狙い始めた。そして、トラウムの狙いが変わった事に気付かなかったゲニコスは、トラウムによって杖の赤い玉を壊されてしまった。そして、玉が壊れた事に気がついたゲニコスは動きを止め、大きな声で笑い始めたのだった。

「ふっ、ふははははははは!!なんと滑稽!!貴様自身、そして貴様の先祖が長年探してきた存在を、こんなにも簡単に壊してしまうとは!!」

「長年探してきた存在、、、まさか」

人を探す魔法に杖が反応した事、そしてトラウム一族が長年探してきた存在という言葉によって、トラウムの頭の中には一つの可能性が考えられていた。そして、そこに追い打ちを掛けるように発せられたゲニコスの発言によって、その可能性は確定してしまった。

「今アナタが壊した玉、それはアナタ方一族が探し続けてきた異世界人の魂なのですよ」

「、、、、ガタッ」

トラウムは衝撃のあまり杖を落としてしまった。

「おや、どうしたのでしょうか?アナタがここまで動揺するとは珍しいですね」

「なぜだ、、、」

「はい?」

「なぜ彼らをそのような姿にした!」

「何の価値もないゴミを、我々の役に立てる姿にしただけですよ?」

「お前は何も分かっていない!彼らはこの世界を豊かにしてくれる救世主ではないか!!!」

その言葉を聞いたゲニコスは、深い失望の表情となった。

「、、、何も分かっていないのは、アナタのほうですよ」

その言葉と共に放たれたゲニコスの風魔法によって、トラウムの身体は真っ二つにされてしまった。

「、、、今すぐに、、、異世界人の殺害を止めるべきだ、、、」

「アナタに我々の行動を止める権利はありませんよ。ただ、、、今回の少年に関しては少々特別でしてね、魔王軍に対する良い牽制の道具となる為、殺しはいたしませんよ」

「、、、」

「おや、もう力尽きてしまったのですか?」

それからしばらくの間、ゲニコスは言葉を発さなくなったトラウムをただただ見つめていた。

「、、、はぁ、やはり予言の力とは恐ろしいものですね、この世界きっての類稀なる血筋を、ここまで腐敗させてしまうとは」

その後、ローブから杖に付いている物と同じ形の透明な玉を取り出したゲニコスは、その玉をトラウムの胸へと押し付けた。すると、その玉はみるみるうちに美しい緑に染まっていった。そして、その玉を回収したゲニコスは風魔法で炎の間に道を作り、広場を離れたのだった。


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