招かれざる客
魔王軍との戦争によって発生した獣人の国の難民、そんな難民達を受け入れていたグリンティアでは、とある大事件が起こっていた。
「難民の受け入れ、無事に終わりました」
「ご苦労様デクシ、しばらくは難民達の管理を任せる事になるから、よろしく頼むね」
「承知しました。トラウム様も少しは休むのですよ」
「心配してくれてありがとう、ただ、もう少しやらなくてはいけない事があってね」
「そうですか、、、私にできる事があれば、なんでもお申し付けくださいね」
そしてデクシが部屋から去った後、トラウムは一枚の紙を見つめながら考え方をしていた。
「今日は町長同士の会議に難民居住地の視察、貿易許可証のサイン、、、はぁ、早くラオト君達と話さなくてはならないのに」
トラウムが独り言を呟いていると、突然部屋の扉が開き、青と黒を基調としたローブを被った男が入って来たのだった。その男の不気味な笑みを前に、トラウムは机な下に隠していた杖を取り出し、最大限の警戒を行った。
「、、、誰だ、この時間に面会の予定は無いはずだが」
「お初にお目にかかる、世界を汚すゴミ、、、いや、トラウムよ。ワタクシの名はゲニコスと申す」
「、、、何をしに来た、ゴミ発言は許されないが、要件があるなら聞こう」
「要件は確かにある。しかし、言ってどうにかなるものではないのだよ」
そう言うと、ゲニコスはローブの中から杖を取り出し、その杖を勢いよく振るったのだった。そして次の瞬間、部屋の中に強烈な向かい風が吹き荒れた。
「ぐっ、、、」
トラウムは必死に踏ん張ったが、風の勢いに勝つ事はできず、手に持った杖と共に部屋から投げ出されてしまった。トラウムの部屋は地上から遥か高所にあった為、トラウムはしばらくの間落下し続けていた。そして、地面までもう少しとなった瞬間、トラウムは地面に向かって杖を振り、自分が落下する箇所に大きな花を咲かせた。
「ポフッ」
柔らかい音と共に、トラウムは花へと落下した。ただ、その衝撃は花が吸収してくれた為、トラウムは無傷で着地できたのだった。
「トラウムさん!大丈夫ですか?」
「ど、どうしたんですか?」
落下した箇所が広間だった為、トラウムの周りには直ぐに人集りができていた。しかし、トラウムの視線は群衆の方を向いていなかった。
「、、、追って来たか」
トラウムが空を見上げると、ゲニコスが建物から降ってくるのが見えたのだった。この場で戦闘に入る事を察したトラウムは、即座に声を上げた。
「皆!この場から離れるんだ!」
「えっ、ト、トラウムさん?」
「早く離れるんだ!」
トラウムの必死の叫びに、群衆も従わざるを得なかった。そして、広間から群衆が一人残らず去ったと同時に、ゲニコスが風魔法でトラウムの前へふわりと着地した。
「全く、頭から着地していれば、長く苦しまずに済んだと言うものを、、、いや、貴様の場合は長く苦しむべきなのだがな!」
「戦うというのならば、こちらも本気で行かせてもらおうか」
「どうぞご自由に!貴様の不純な戦術が、ワタクシのような純粋な戦術に叶うはずなどないのだからな!」




