入れ替わり
魔法陣を破壊するという目的を無事に達成したラオト達は、この城にいる理由がなくなった為、全員でフェアリウムに帰る事となった。
「それじゃ、俺達は行くな。敵ではあったけど、、、まぁ、色々とありがとうな」
「あぁ、この情報はありがたく使わせてもらうぞ」
「うむ、其方らの活躍を楽しみにしているぞ」
ブラキナと少し仲良く?なったサリディとホルスの二人は、ブラキナと別れる前に各々別れの挨拶をしていった。そして、挨拶が終わると、ラオト達の待つ城の外へと向かって行った。それにより、広間にはブラキナとウィンディの二人だけが残されたのだった。
「、、、」
「、、、」
お互い、相手に何か複雑な感情を抱いているのか、二人の間には気まずい沈黙が流れていた。そして、みんなを待たせているウィンディの方から先に口を開いたのだった。
「、、、私に似た弟子がいたって言ってたけど、それは誰。それと、なんで過去形なのかも教えて」
「、、、」
ブラキナは後めたい気持ちがあるのか、中々話し出そうとしなかったが、ウィンディの視線に負け、ようやく口を開いたのだった。
「、、、彼は吾輩の優秀な弟子だった、しかし、その優秀ゆえ、彼は自我を失わねばならなかった」
「、、、」
「、、、いや、やはりなんでもない。これ以上は我の口からは言えない、いや、言わせないでほしい」
「、、、」
「、、、ウィンディよ、其方がこの調子で旅を続ければ、いつか必ず彼と出会えるだろう。結末がどうなるかは分からないが、其方にとって良き結末になる事を願っている」
「、、、分かった、ありがとう」
そう言い残し、ウィンディは広間を離れたのだった。そして、全員集合したラオト達は、ブラキナの城を出発したのだった。
ウィンディが去った後、ブラキナは一人広間で瞑想をしていた。それは先程の戦闘を振り返る為か、はたまた心の動揺を抑える為かは分からないが、ブラキナは目を瞑り、心を落ち着かせていた。その時、ラオト達ではない何者かがこちらに近づいて来るのを感知した。その者から溢れる敵意に、ブラキナは神経を尖らせながら警戒した。
「、、、何者だ」
「おやおや、気付いてらっしゃいましたか」
ブラキナが目を開くと、目の前には緑色のローブ深々と被った謎の男が立っていた。
「ふーむ、あの者達が出てきたの見て入って来たのは良いものの、あなた、なんで無傷なのですか?」
「、、、」
「せっかくトドメ刺そうと思ったのに、これでは計画狂ってしまうではないですか」
「貴様は、吾輩を倒しに来たのだな」
「そうだ、と言ったらどうするですか?」
ブラキナは静かに立ち上がると、背中に背負っていた六つの剣を取り出した。
「そうですか、まぁ、あなたと戦ってもやられるだけですので、今回は見逃してあげましょうか。あなたは優先度、低い方ですし」
「逃して欲しいのであれば、貴様が話した言葉の意味を説明しろ。優先度とはなんだ」
「優先度は優先度ですよ、あなたでも優先度の意味くらい分かりますよね?」
「、、、」
「それでは、ワタクシ、ここらで失礼させて頂きます」
ブラキナはお辞儀をするローブの男を勢いよく斬りつけようとした。しかし、その直前で何かに気づき、男の目の前で剣を止めたのだった。
「おやおや、感良いですね」
男のローブの中をよく見てみると、そこには大量の加工された魔水晶が敷き詰められていた。今、攻撃を止めなければ、恐らく城ごと粉々になる爆発が起きていただろう。
「、、、貴様、なぜ命を粗末にするのだ」
「命を粗末?ワタクシというたった一人犠牲になる事であなた殺せるのであれば、とても有用な使い道ではありませんか?」
「、、、」
「まぁ、バレてしまった以上、貴方もう攻撃してくれないでしょうし、ワタクシ一旦帰りますね」
「、、、」
スタスタと帰って行く謎の男を、ブラキナは最後まで警戒しながら見送った。
「、、、」




