渾身の一撃
いよいよ動き出したブラキナに、三人は防戦一方の展開を強いられていた。ブラキナの圧倒的な力と素早さの前に、三人は避けと守りに専念しなくてはならず、せっかく判明した弱点を活かす事ができなかったのだった。
「はぁ、、、はぁ、、、ダメだ、このままじゃ体力が持たない、、、」
「、、、まだ体力が残っている今、どこかで攻めに行かなくちゃマズいな」
三人は度重なる避けと守りによって、体力をかなり消耗していた。このままでは本格的に動けなくなってしまう為、三人は早急にブラキナとの決着をつける必要があった。しかし、決着をつける以前に、そもそもブラキナに攻撃を加える事が難しく、ブラキナの圧倒的な対処能力を掻い潜る攻撃をする必要があった。
「、、、この三人の中で、ブラキナに攻撃できそうなのは、、、」
サリディとホルスの二人は、最後の希望になりうる俊足の持ち主を見つめた。
「、、、私?」
「あぁ、俺達じゃブラキナの攻撃は掻い潜れない。もしブラキナに傷をつけれるとしたら、、、それはウィンディだ」
「でも私、、、ブラキナより遅いよ」
「ウィンディお得意の風魔法を最大限活かすんだ、俺達も援護するから、その隙にブラキナの懐に潜り込め」
「、、、次の攻撃が体力的に最後のチャンスになるだろうな。頼んだぞウィンディ!」
そう言い残し、ホルスは残った力を振り絞った渾身の一撃をブラキナに加えた。
「ガキーン!!!!」
空気が震える程の大きな剣のぶつかる音と共に、ブラキナの体が少し後ろに動いたのだった。
「、、、なんと」
ホルスの渾身の一撃は今までの攻撃とは違い、ブラキナでも押し返す事ができなかった。ブラキナの踏ん張りに耐えられず、地面がメリメリと剥がれていく中、サリディも最後の大技をブラキナに放ったのだった。
「いけぇぇぇ!!!」
サリディが放ったのは、戦闘の初期に放った水魔法弾だった。しかし、量も速度も段違いのものとなってなっており、ホルスの攻撃と合わせて、流石のブラキナでも対処に苦戦しているようだった。
「今だ!!!」
「ウィンディ!!!」
二人の掛け声と共に、ウィンディは自身が使える最大限の風魔法を使用し、その圧倒的な速度でブラキナへと突撃した。
「くらえ!!!!」
ウィンディは途中で飛び上がると、そのままブラキナの兜目掛けて剣を振り下ろした。
「なっ、、、」
サリディとホルスの攻撃で手一杯になっていたブラキナは、目の前で剣を振り下ろすウィンディを、ただ見つめる事しかできなかった。
「カーン!!!」
鈍い金属音と共に、ブラキナの兜は真っ二つに割れた。しかし、ブラキナは依然として剣を構えながら立っていた。
「ダメ、、、だったか、、、」
「くっ、、、」
今の攻撃で力尽きた二人はその場に倒れてしまい、残り戦えるのはウィンディのみとなってしまった。
「、、、まだ、、、ダメなの、、、」
渾身の一撃を耐えられてしまい、ウィンディも戦意喪失しかけていたその時、ブラキナは剣を手放し、力なく跪いたのだった。
「、、、吾輩の負けだ」
「、、、えっ」
ブラキナの突然の降伏に、ウィンディは呆気に取られた。
「師範たる吾輩が、まさか頭に一撃喰らうとは、、、吾輩は、またも剣士として負けたのか、、、」
「、、、またも?それってどういう事」
「やめろ!」
そう言うと、ブラキナは大粒の涙を流し始めた。それと同時に何かの後悔らしき言葉も呟いていたが、なんと言っていたのかは聞き取れなかった。その後、涙を拭ったブラキナは、改めて自身の降伏を宣言し、こうしてブラキナとの戦いは幕を閉じたのだった。




