信頼の証
ホルスはラオト達に獣人の国内の情勢やケンタウロス族の事、そしてラオト達と旅に出るきっかけなどを、包み隠さず話したのだった。
「という事があってな、ケンタウロス族は今、獣人の国から独立しようとしているって事なんだ。だから、俺達は獣人の国の危機をケンタウロス族の危機とは考えられないんだ、これは他のほぼ全てのケンタウロスにも同じ事が言える筈だ。だろ?ペトラ」
「、、、」
「ペトラ?」
ペトラは絶叫した表情のまま固まっていた。
「えっと、どうしたんだ?俺なんか変な事言ったか?」
「ホルス先輩が、、、代表だったのか、、、!」
どうやら、ペトラはケンタウロス族の代表が誰なのか知らず、今のホルスの話で代表が誰かを初めて知ったらしい。
「うん?代表は誰か知らなかったのか?」
「あぁ、計画しか知らなかったな、まさかホルス先輩が我らのリーダーだったとは、、、!」
「代表が誰かを知られていないのはどうなんだ?まぁ、計画がバレた時に代表を特定されない点は良いのか」
その時、ホルスは周りが異様に静かな事に気がついた。そして、ふと周りを見てみると、そこには各々違った表情で固まったみんなが立っていたのだった。
「えっと、どうしたんだ?」
「いやいやいや!そんな重要な事をこんな場所で話しちゃて大丈夫なの!?」
「そうだぞ!俺達が聞くのもマズいが、敵意を持った部外者に聞かれたらどうするんだよ!」
重要すぎる情報をいきなり話され、慌てふためく様子のウィンディ達に対し、ラオトとアレスの二人は落ち着いた様子で何かを考えていたのだった。ラオトに関しては、ホルスの話に出てきた場所や言葉の意味が分からないから驚愕できないのかもしれないが、そんな中、話の中で一つだけ気になった言葉についてを、じっくりと考察していたのだった。
「まぁ、この事を話したのは俺からみんなへと信頼の証だと思ってくれ」
「信頼してくれるのはありがたいが、だからといって安全だと言う訳ではないぞ。この建物の中に信頼のできぬ者が潜んでいる可能性も捨てきれない、実際、魔王軍の中には潜伏を得意とする極小の魔人もいるらしいしな」
「そうだな、今後は気をつけよう。まぁ、これでみんなに獣人の国とケンタウロス族の関係が分かってもらえたと思うし、この話は終わりにして次の話をしよう」
「そうだな」
そんな機密情報が飛び交う宿の様子を、気配を感知できるアレスとスティアの二人にも気付かれずに、遠くから見ていた者がいたのだった。
「フフフこれは中々良い情報だあの者たちの危険度がますます高まる良い情報だこの情報があればいよいよ動き出すなハハハハハ!」
そのような早口の奇声を上げながら、その者はラオト達を監視し続けたのだった。




