盗聴
官僚の側近が町中へと去って行ったのを確認したホルスは、自身の背後を警戒しながら再びガデニダリアの本部へと戻って来ていた。そして、また先ほどの部屋でフィロスとの会話を始めたのだった。
「それで、彼は来なかっただろ?」
「あぁ、、、残念だ」
「まぁしょうがないよ、アイツらは僕達ケンタウロスを自分達より格下だと思っているから」
「その話が嘘だと思いたかったが、官僚が会えないと伝えに来た側近の態度を見るに、それも本当なんだろうな」
「一応人手は遣してくれたんだね、アイツらなら無視も有り得ると思ったんだけど」
「まぁ、話してる内容的に、俺達にその事を悟られないようにしているっぽかったからな。それで、一応そいつにあの魔道具は付けておいたぞ」
「ありがとう。いやぁ、まさか子供の頃に憧れたあの本の主人公と同じ事を再現できる日が来るなんてね」
「本当だな。敵に盗聴魔道具を付けて情報を聞き出す、まさにあの本の主人公、スパイと同じやり方だな」
「うんうん!まるで俺達がスパイになったみたいだね!こんな斬新な方法、あの本を知っている僕達ケンタウロス族以外は分からないだろうし、バレる心配は必要なさそうだね」
「おっと、早くしないとスパイの時みたいに服が洗濯に出されちまうな」
「そうだね、それじゃあ早速聴こっか」
二人は部屋に用意されていた手のひらサイズの魔水晶に耳を傾けた、すると、早速先ほどの側近が誰かと話している声が聞こえてきたのだった。
「いやぁ、アイツの疑心暗鬼っぷりには参りましたよ」
「はっ、昔からアイツは妙に感が良かったからな、今回の件も勘付かれるのではないかとヒヤヒヤしていたよ。だが、アイツもケンタウロス族、バカである事には変わりなかったな!」
「この声、、、シーミアだな」
どうやら、あの側近は自分の上司である官僚のシーミアと話しているらしい。
「しかし、我々を疑うにしては、妙に自信が有り過ぎる様な気がして、、、」
「分かっている、ホルスは人脈だけは広いからな、誰かから情報が漏れた事を危惧しているのだろう?」
「その通りです」
「ホルスは中央街の北側に居たのだな?なら、そこら辺の怪しい人物を片っ端から調べ上げるのだ、万が一我々の思惑が漏れていたら敵わないからな」
「承知しました」
「それと、ガデニダリア本部に抜き打ち検査を行う。政策の会議に出席していた者共がホルスと接触していないか確認するのだ」
「承知しました、直ぐに準備に取り掛かります」
「全く、下等なケンタウロスの分際で我々に手間を掛けさせるとは」
そうして、側近が部屋を出たところで二人は水晶から顔を離し、互いに顔を見合ったのだった。
「マズいな」




