官僚の側近
フィロスとの面会の後、ホルスは知り合いの官僚との待ち合わせ場所へと向かった。しかし、時間が過ぎても官僚は現れる事なく、代わりに官僚の側近を名乗る獣人が現れたのだった。
「ホルスさんですね」
「あぁ、なんだ?」
「シーミア様ですが、都合が合わないので、今日はお会いできないとの事です」
「、、、」
「それでは、失礼します」
「待て」
ホルスは去り行こうとする獣人を重々しい声色で引き留めた。
「はい、まだ何かご用でしょうか」
「俺がなんでアイツを呼んだか分かるか」
「さぁ?分かりませんけど」
「都合が合わないだと?今日、町中でアイツと同じくらいの役職の奴らが出歩いているのを見かけたぞ、本当は暇なんじゃないのか」
「それは偶然でしょう。話は以上ですか?それではさようなら」
「、、、アイツは、ケンタウロスの俺に会う気がないんだろ?」
「、、、」
ホルスの言葉を無視し、さっさと立ち去ろうとしていた側近だったが、ホルスのその言葉を聞くとピタリと足を止め、顔を見せないようにしながら話し始めたのだった。
「またまたご冗談を、あなたがケンタウロスだから、これが会わない理由になるとでも思うのですか?」
「あぁ、思うな」
「、、、なぜそうお思いで?もしや、あの政策がガデニダリアで働くケンタウロスへの嫌がらせとでも思っているのですか?」
「あぁ、そうだ」
「ほう?その発言は我々官僚の印象を下げた、名誉毀損に該当しますよ?誰かに聞かれていたらどうするのですか?」
「聞かれても良いさ、これが俺の考え、そして真実なんだからな」
「その被害妄想はどこから湧き上がってくるのやら。ちなみに、今日あなたはどこに行きましたか?」
「急になんだよ」
「いえ、あなたのような政策に批判的な者が普段どこを訪れているのか興味があるだけですよ」
「別に、そこら辺をぶらぶらしていただけだ」
「そこら辺とは?」
「中央街の北側だ」
「そうですか、質問に答えていただいたのには感謝します。それでは、私は帰らねばなりませんので」
「ん?ちょっと待て」
ホルスは去り行く側近に急いで近づき、襟元を綺麗に正してあげた。しかし、側近はその親切な行動の感謝より、ホルスが接近した事に嫌悪感を感じていた。
「勝手に触らないでください!」
「すまないな、気になったもので」
「はぁ、だからケンタウロスは、、、いえ、何でもありません」
その後、側近は振り返る事なくこの場を後にした。そして、その後ろ姿をホルスは静かに睨みつけていた。




