飛行
ラオトはロメウスの魔道具をしっかりと背負い、いよいよ魔道具を使う準備が整ったのだった。ラオトの要望によって生み出されたこの世に一つだけの魔道具、そんな特別な魔道具の初起動の様子を、ピメウス、ロメウス、ウィンディの三人は息を呑んで見守っていた。しかし、そんなワクワクした様子の三人に対し、ラオトはかなりの不安と緊張を感じていた。それもそのはず、先程ピメウスに聞いた話によると、この魔道具は動作確認やテスト飛行などをしておらず、今回の起動がぶっつけ本番なのだという。決してロメウスの作った魔道具を疑うという訳ではないのだが、流石にテストなしでの飛行というのは怖いものがあり、ラオトは中々魔道具を起動できずにいたのだった。そんな中、モタモタしているラオトに嫌気が差したピメウスが、ラオトに対して早く魔道具を起動するように、誘惑の言葉を投げかけたのだった。
「空を自由に飛べるのは最高なんだよぉ、気持ちいい風を身体中で浴びれるし、この町では不自由なく活動できるし、なにより空を飛べる事って、君達人間族には滅多に体験出来ない事だもんねぇ、ねぇねぇ早く空を飛ぶ体験をしたくない?」
ラオトはピメウスの言葉が少し的を得ているようにも感じた。
「(確かに、模擬戦の時のウィンディは少しの間だけでも飛べた事に大喜びしていたし、周りの皆もウィンディを賞賛していた。もしかしたら、この世界で人間族が空を飛ぶというのはかなり凄い事なのかもしれないな、、、そんな凄い体験をちょっとした恐怖の感情で台無しにするのは勿体無いのか?)」
そうして、ラオトはピメウスの言葉のおかげでついに決心がついたのだった。ラオトは魔道具をしっかりと背負い直し、向かう先である上空を眺めた。そして、しっかりと空を飛ぶイメージができた後、ラオトはついに背中の魔道具に魔力を注ぎ込んだのだった。その瞬間、魔道具の羽がゆっくりと動き出し、それと同時にラオトの体がふわりと宙に浮いたのだった。その様子はまさに美しく羽ばたく蝶そのもののようだった。
「おぉ!飛んだ!」
「やったぁ!せいこうだね!」
空へと浮かんでいくラオトを見て、ウィンディ達三人も大喜びの様子だった。




