借り物
その後、スティアは攻撃の痕跡からみんな分の気力を回収し、それらをラオト達に返した事によって、ラオト達はかろうじて活力を取り戻したのだった。
「、、、ふぅ、ありがとうスティア」
「お礼はいらないよ、そもそも私が無断でみんなの気力を使っちゃったのが原因だし、これはその後始末だよ」
「そうか、、、ふぅ、なんだか戦ってもないのに凄く疲れたな」
「盛り上がっている最中に気力を抜かれたからだな。戦闘に熱狂している状態から急激に気力がなくなったものだから、その落差に体が疲れてしまったのだろう」
「なるほど、、、スティアのあの技、確かに強力なんだが、仲間を巻き込むっていう点には注意しなきゃだな」
「それを言ったらコイツの闇魔法もそうでしょ!コイツの魔法だってウィンディとサリディから力を奪ってた訳だし」
「うーん、でも、今のところウィンディとサリディの二人には何も症状が出てないんだよな」
「当たり前だ、堕天使が皆から借りた気力はその者の活動意欲や気分の高まりを総合した力、そんな者が抜かれてしまったら、当然皆は先程のように無気力な状態になってしまう。それに対し、我がウィンディとサリディから借りたのは、二人のトラウマや後悔の経験などの悪魔を構築するのに必要なネガティブな感情なのだ。無くなったら活動意欲が無くなり、生活が困難になってしまう気力に対し、我の借りたネガティブな感情は無くても良いもの、無くなったところで生活に支障が出る訳でもなく、逆に嫌な思い出を忘れられて良い気分になれるという事なのだよ」
「えぇ?そんな事して大丈夫なのか?トラウマとか後悔の経験とかって、その人の人生とか行動理念に関わってくるものじゃないのか?」
「だから借りたのだ、我の作り出した悪魔達にも、オリジナルと同じ動きをして欲しかったからな。それに、その感情は借り物、借りた物は返すのが礼儀ではないか?」
「という事は、もう二人に返したのか?」
「あぁ、堕天使の攻撃をあの二体は避けられないと分かっていたからな。攻撃が放たれる直接に感情は二人に返しておいたのだ」
「なるほど、、、これで今回の模擬戦での貸し借りは全てなくなったんだよな?」
「あぁ、そうだな」
「分かった、それじゃあ少し休むか、皆んな疲れているみたいだし」




