反則
スティアが攻撃が終わった頃には、二体の悪魔達は跡形もなく消え去っていた。人数による不利もなくなり、皆から力も貰って勢いに乗るスティアは自身の勝ちを確信していた。
「ハッハッハ!アンタの切り札達も居なくなっちゃった訳だし、傷がつかない内にそろそろ降参したら?」
「フハハハハ!確かに堕天使の魔法は素晴らしい威力だった、それは認めよう。だが、この戦いの勝敗は既に決しているのだ!」
「はぁ?追い詰められておかしくなっちゃったの?」
「フッフッフッ、先程の魔法は模擬戦で使うには規模が大きすぎたのではないか?あれを見るといい」
そう言うと、アレスは自身の後方に生えた一本の木を指差した。
「、、、はぁ!?」
スティアはアレスの後ろにある木を見てみると、その木の中心部分にはぽっかりと丸い大きな穴が空いていた。アレスがわざわざ指摘している事から、恐らくスティアのビームによって空いてしまったのだろう。
「残念だが、この戦いは堕天使の反則負けという事になるな」
「はぁ!?私ちゃんと威力調整したって!」
「皆の気力を借りた技なのだから、威力が予定より大きくなってしまう事ぐらい分かっていただろう?もっと規模を小さくすべきだったな」
「ダメダメ!そんなの認めない!せっかく私が勝つ流れだったのに!」
「自分で認めたルールなのだから、ちゃんと守って貰わねば困るのだが」
「ヤダヤダ!」
このままでは負けてしまうと思ったスティアは、アレス以外の意見を聞く為、観客席に向かって必死に声を飛ばしたのだった。
「ねぇねぇ皆んな!せっかく盛り上がってきた所なのに、こんな些細な事で終わっちゃうのは嫌だよね?私の逆転劇見たいよね?」
スティアは必死にラオト達に訴えかけたが、観客席のラオト達はどこか様子がおかしかった。
「、、、はぁ、別にどっちでも良いよ」
「そうだね、、、はぁ、早く休みたいなぁ」
先程までとても盛り上がっていたはずの観客席は、気づいたらとても暗い雰囲気になっていたのだった。
「えぇ?そんな事言わないでよ!ねぇホルス!こっからが盛り上がるところなんだから、続けても良いよね!」
「、、、いやぁ、そんな事どうでも良いっていうか」
「ひぇ!?」
スティアの逆転という、いかにもホルスが大好きそうな展開にも関わらず、ホルスも戦いに興味を無くしていたのだった。
「ホルスまで、、、そんなぁ」
「フッ、堕天使が皆の気力を使ってしまったせいで、使われた本人はやる気を失っているようだな、という事でだ、この戦いは我の勝ちだな」
「そんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
スティアの悲痛な叫びは、フェアリウム中に響き渡ったのだった。




