ホバリング
ウィンディはサリディの攻撃を防ぎながら、足元に魔力を溜め始めた。その気配を察したサリディは攻撃をさらに加速させるが、その攻撃をウィンディは冷静に対処していった。そして、大量の魔力が足に溜まり、足がジンジンと痛み始めたその時、ウィンディは魔力を一気に解放し、自身の体を包む強烈な上昇気流を作り出したのだった。
「おりゃぁぁぁ!!」
ウィンディはその風に乗って遥か上空へと飛び上がった。そのウィンディの姿には、サリディも観客も驚きを隠せなかった。
「ウィンディが、飛んだ!?」
「凄い!」
周りがウィンディの魔法にはしゃいでいる中、ウィンディはより一層神経を尖らせていた。それもそのはず、風魔法によって自分が上空に飛び上がるのは強い風を作り出すだけで簡単なのだが、問題は飛び上がった後の魔法の調整、魔法を強くしすぎるとどこかへ吹き飛んでいってしまうし、弱すぎても地面に落ちてしまう、この強弱のバランスが非常に難しく、さらに風から落ちないように体でバランスも取る必要もあった為、ウィンディは周りの声が一切聞こえなくなるほどに集中していた。そのあまりに真剣な表現のウィンディには、流石のサリディも攻撃はできず、ウィンディの様子をじっと見つめていたのだった。
ゆらゆらと上下を繰り返すウィンディだったが、段々と上下の幅が小さくなっていき、ついに安定して空を飛べる程度に魔力を調整できたのだった。
「やった!安定した!」
ウィンディは落ちないようにバランスをとりながら今の魔力を維持し続け、その状態で、自身より遥か下に佇むサリディに対して剣を向けたのだった。
「さぁサリディ!飛べるようになった私に勝てるかな!」
「ほい」
「あっ」
威勢よく剣を構えるウィンディに対し、サリディは小さな水の塊をぶつけたのだった。その水の塊はすぐに鎧に弾かれてしまったが、水が当たった衝撃でウィンディはバランスを崩し、そのまま上昇気流から落っこちてしまった。
「バシャーン!」
ウィンディは地面を覆う水の中へと落ちていった。
「そこまで!」
アレスの合図によって模擬戦は終わり、その戦いを見ていたラオト達は急いでウィンディの元へと近寄った。
「おーい!ウィンディ!」
「、、、ぷはぁ!ふぅ、下が水で良かった!」
「凄いなウィンディ!一瞬だけど、まさか空を飛べるなんて!」




