魔法を活かした戦い方
「くらえ!」
サリディはそう叫びながら左手を前に勢いよく突き出した。その瞬間、サリディの左手から、まるでビームのような凄まじい勢いの水が発射された。
「おっと!」
ウィンディはサリディの魔法を華麗にかわし、体制を整える為にサリディから少し距離をとった位置に下がったのだった。
「ドカン!」
ウィンディにかわされたサリディの魔法が近くの木に衝突した。その木を見ると、そこには大きく抉られた跡ができていた。
「おぉ、中々の威力だねぇ」
「まぁな、せっかくスティアが居るんだから、本気でやり合わなきゃだよな!」
「なら、私も少し手荒にいくよ!怪我しても文句言わないでね!」
そう言うと、ウィンディは剣の刃の部分に魔力を纏わせ、そのまま思い切りサリディに向かって剣を振り翳した。すると、剣に纏われていた魔力が剣から勢いよく離れ、三日月のような形の斬撃となってサリディの体目掛けて飛んでいったのだった。
「来たな!」
サリディは飛んでくる斬撃に怯む事なく、冷静に剣で斬撃を受け止めた。しかし、ウィンディはその間にも無数の魔法の斬撃を作り出し、サリディに放っていたのだった。剣だけでは受け止められないと悟ったサリディは、急いで水の塊を数個作り出し、それで斬撃を迎え撃ったのだった。そして、水の塊に当たった斬撃は勢いが相殺され、たちまち消えてしまった。
「ふん!見た目は鋭くても所詮は風!勢いを相殺される水には弱いようだな!」
「まぁね、けど、風魔法は攻撃以外にも使えるんだよ!」
ウィンディがそう言ったその瞬間、辺りに強烈なウィンディの追い風が吹き始めたのだった。
「う、目が、、、」
サリディが強風によって目を開けられなくなっている隙に、ウィンディは追い風に乗って一瞬で間合いを詰め、サリディに剣を振り翳したのだった。
「くらえ!」
「くっ、、、」
サリディは間一髪で剣を構え、なんとかウィンディの攻撃は防いだのだった。しかし、風に耐えていた姿勢が崩れてしまった事により、サリディは後ろに吹き飛ばされてしまった。
「うわぁ!」
サリディはそのまま地面に叩きつけられてしまった。その様子を見たウィンディは追い風を解除し、ゆっくりとサリディに近づいた。しかし、ウィンディは倒れているサリディから大量の魔力の気配を感じ取った。ウィンディは即座に後ろに退き、サリディから距離をとりながら、サリディの出方を警戒した。サリディはウィンディが離れた事を確認すると勢いよく立ち上がり、両手を地面へと向けたのだった。
「流石はウィンディだ、なら、俺も大規模な魔法を使わせてもらうぞ!」
そう言うと、サリディは地面に向かって滝のような水を噴射したのだった。
「うわっ!こっちまで来る、、、あれ?」
サリディの放った水は、勢いよく辺りに広がっていく、、、はずなのだが、なぜかその水はラオト達観客勢の目の前でピタリと止まり、目の前でどんどんと水位が上がっていったのだった。そうしてどんどん水位は上がっていき、サリディが魔法を止めた時には、ウィンディの腰が浸かる程の水が溜まっていたのだった。
「フッフッフッ、どうだウィンディ!これでまともに動けないだろう!」
得意の俊敏な戦い方を水で封じられ、少し動揺が見えるウィンディに対し、サリディは水面に立ちながら、ウィンディを見下ろしていたのだった。
「マズいな、ウィンディ足を封じられて動けないぞ」
焦るウィンディは、この場面をどう切り抜けようかを必死に考えた。しかし、その間にもサリディからは攻撃が続けられていた。
「カキーン!」
「カキーン!」
防戦一方のウィンディに対し、サリディは水の上から攻撃を仕掛ける、どちらが優勢かは一目で分かる状況になっていた。
「ウィンディ頑張れ!」
「サリディいけー!」
皆の応援の声が響く中、ウィンディは昨日の宿での出来事を思い出したのだった。
「(風魔法でラオトを受け止めようとした時、ラオトは空を飛んでるみたいっていってたっけ、なら、風をもっと強くすれば、私も、、、)」
風魔法で空に飛び上がり、水から脱出し、そのまま空で戦うという作戦をウィンディは思いついたのだった。しかし、その作戦を実行するにあたって、いくつかの懸念点がウィンディの脳裏をよぎった。失敗したら大量の魔力を無駄に浪費しただけや、そもそも鎧を着けた自分が飛べるのか、魔法の加減を間違えたら遥か彼方まで飛んでいってしまうのではないか、など、考えられる懸念点はいくつもあったが、新しい戦術を試すのが模擬戦だという事を思い出し、ウィンディは一か八か魔法を使用する事にしたのだった。




