模擬戦
建物から出ると、そのすぐ隣には大きくてたくましい馬の足が見えていた。
「おっ!おーいホルス!」
「おぉ、ラオト」
ホルスは読んでいた本をバックにしまい、ラオトをそっと持ち上げたのだった。
「結構長かったな、どうだ?実りある会議はできたか?」
「あぁ、ピメウス、、、この町の町長と和解できたし、あとブラキナ討伐に向けた色んな情報をしれたよ」
「そいつは良かった、後で俺達にも聞かせてくれよ」
「あぁ!もちろん!」
ラオトとホルスはちょっとした雑談をしながら、皆の待つ宿へと帰って行ったのだった。ラオトはその道中に獣人の国の事をホルスに話そうとしたが、変な罪悪感が邪魔をし、結局話せなかったのだった。
宿の前へと辿り着くと、そこではジャンケン大会はやっておらず、代わりにウィンディとサリディが剣を構え、真剣な眼差しで立ち合っていたのだった。
「あれ?ジャンケンはしてないのか?」
「あぁ、ラオト抜きでやったらジャンケン最強はサリディに決まったっからな、今はブラキナ討伐に向けた模擬戦をしてるとこだ」
「模擬戦!めっちゃ楽しそうじゃないか!ウィンディとサリディが一騎打ちで戦ったらどっちが勝つのか、めちゃくちゃ気になる!」
「だろ!考案者は俺なんだが、良い案だと思うよな!」
「あぁ!俺もこの体じゃなきゃ参加したかったな」
「、、、おっと、そろそろ始まりそうだ」
その言葉に釣られ、ラオトはウィンディとサリディの方を向くと、2人の顔は今までにない程真剣な顔になっていた。両者共、今は相手が仲間という事を忘れ、目の前に立つのは自身と同じ剣士として認識しているのだろう。己の剣士の誇りを賭け、目の前にいる者を討ち倒す、そんなやる気と気迫が2人からは感じられた。そして、皆が息を呑んで見守る中、アレスの合図によって一騎打ちの勝負が始まったのだった。
「戦闘開始!」
アレスの合図が出た瞬間、皆の目の前を目にも留まらぬ速さでウィンディが駆け抜けて行った。皆の視界からウィンディが消えたその瞬間、辺りに「カキーン」という金属の甲高い音が響き渡ったのだった。
ラオト達は急いで音のした方向を見てみると、そこにはウィンディの攻撃を間一髪で防いでいるサリディの姿があったのだった。
「くっ、、、ウィンディ速すぎたろ!」
「ふふん、これが私の戦い方だからね、それに、ブラキナも高速で動いてくるから、再現としては完璧じゃない?」
「ふっ、そうだったな、それじゃあ俺も、俺の戦い方をやらせてもらうぜ!」
そう言うと、サリディは右手の剣でウィンディを抑えながら、左の手で魔力を貯め始めたのだった。




