解散
その後もラオト達はシュデンのメモを見ながら、様々な情報について意見を交わしたのだった。しかし、十災魔神の目撃情報より後の話題は、他の国や町の獣人族の受け入れの割り当てや、急遽行うこととなった国王や町長が全員参加する緊急会議など、それらに深く関わる事になる町長や副町長という役職の者達にとっては重要な話題であったが、ただの一般冒険者であるラオトにとっては、それらの話題に興味を持って聴く事ができなかった。その為、同じように興味なさげな様子のピメウスに合図を送り、他の3名が話し合っている間、2人はお菓子のゴミで遊んでいたのだった。そうして時間が過ぎていき、ようやく3人の話し合いが一段落すると、シュミトとシュデンが獣人族の受け入れ態勢を整える為、今日の通信は一旦終わりにする事になった。ラオトはシュミト達に手を振りながら別れの挨拶をし、シュミト達もそれに応えるようにラオトに別れの挨拶をした後、2人の顔は魔水晶の中へとぼんやりと消えていったのだった。
「さて、ピメウス様、ヴェルンドのお二人の証言から、ラオト様がキオンを討伐した勇者で間違いないとお分かりになりましたか?」
「ま、まぁ?別に信じてあげても良いけど?、、、それよりアンタ!本当にキオンを討伐したんだよね?」
「え?信じてくれたんじゃないのかよ?」
「そうじゃなくて、本当にキオンをボコボコにしたのって事!アンタが倒したはずのキオン、普通に戦場に居るじゃん!」
「そ、それは、、、」
「落ち着いてくださいピメウス様、シュデン様の情報によりますと、キオンが部下と共に逃げ去ったのは東南の方角、その方角には回復魔法が得意な十災魔神プロクスの城がございます、恐らくキオンはラオト様との戦いの傷を癒す為、プロクスの城へと向かったのではないかと予想します」
「なるほど、そうなのラオト?」
「そ、そうなんじゃないか?」
キオンがなぜプロクスの城へ向かったのか分からないが、恐らく回復の為ではない事は分かっていたラオト。しかし、ここで違うと言ってしまったら、ピメウスの信用獲得から遠ざかってしまうと思い、仕方がなくピメウスに嘘の返事をしてしまった。
「ふーん、、、」
ピメウスからの視線に、ラオトは心の中でバレないように祈り続けることしかできなかった。
「、、、まぁいっか」
どうやら、ピメウスはラオトのことを信用してくれたようだ。ラオトはその事を喜ぶと同時に、ピメウスに対して強い罪悪感を感じていた。
「(この嘘が、いつか大変な事になりませんように)」




