武闘派
早足で建物を進んでいくパドラとラオト、見覚えのある道筋を通りながら最上階への階段を上がると、そこにはグリンティアの時と同じように一つの扉があるだけだった。
「グリンティアと同じなら、ここが町長の部屋なんだよな?」
「その通りです、この先がピメウス様のお部屋でございます」
そう言うと、パドラは扉を優しく数回ノックした。
「ピメウス様、お客様がお越しになりましたよ」
「、、、」
何も反応がなかった為、パドラは今度は少し荒々しくノックをした。
「ピメウス様?ドアを開けてもらえないでしょうか」
「、、、」
やはり反応が無く、ラオトがパドラに声をかけようとしたその時、とても大きな音と共に、目の前の扉が奥に吹き飛ばされたのだった。
「、、、え?」
ラオトは何が起こったのか分からなかったが、ふと粉々に粉砕された扉を見てみると、そこには誰かが蹴飛ばしたかのような跡ができていた。ラオトが恐る恐る隣を見てみると、そこには少し髪の乱れたパドラがこちらをニコニコと笑顔で見ていたのだった。
「、、、パドラさん?」
「どうされましたか?」
「、、、いや、今」
「今、なんでしょうか?」
何を考えているか分からないパドラの笑みに、ラオトは恐怖をも感じていた。一方のパドラは、まるで何事も無かったかのように、笑顔でラオトを眺めているだけだった。
「さぁ、扉も開いた事ですし、中に入りましょう」
「は、はい」
扉の残骸を優雅に避けながら進んでいくパドラの後ろを、ラオトは恐る恐る進んで行った。
部屋の中も、やはりグリンティアの建物とそっくりな構造になっていた。広々とした半円型の部屋、壁際にある魔道具が飾られた棚、そして部屋の奥の方に置かれた町長用のデスクなど、そして、その町長用のデスクには、あの時のように町長が座っていたのだった。
「あれ?町長居るじゃん」
「本当ですね」
2人は町長の座るデスクに近づくと、そこに座っていた町長は、気持ちよさそうに眠っていたのだった。
「グー、、、グー、、、」
「、、、寝てる」
「、、、寝ておられますね」
ラオトがどうしようか迷っていると、パドラが眠っている町長のほっぺを思い切りつねったのだった。そのあまりの痛みに、流石の町長も目が覚め、涙目になりながらパドラの腕を必死に掴んだのだった。
「痛い痛い痛い!ちょっパドラ!」
「お客様がいらっしゃるというのに、居眠りでしょうか?」
「ごめんって!もう寝ないから!」
「その言葉は既に20回は聞きましたよ?」
「今度こそだって!」
町長のほっぺをつねるパドラと、必死に抵抗する町長、この2人の構図は、2人の見た目も相まって、ある場面にそっくりだとラオトは感じていた。
(、、、なんか、お母さんと反抗期の娘みたいだな)




