夜のフェアリウム
ロメウスも町長も居なくなり1人取り残されたラオトは、ラボ内で特にする事もなかった為、一旦皆の元に帰る事にした。ラオトは自分の記憶を頼りにラボを進んで行き、ロメウスと共にラボに入った入り口から外に出た。
ラボの外はすっかり暗くなり、辺りに生えている魔水晶がぼんやりと光っている、なんとも神秘的な光景となっていた。
「もう夜か、夜のフェアリウムはなんか神秘的だな」
ラオトは宿に帰る為、待っているはずのウィンディを呼んだが、その呼び出しに返事は返ってこなかった。
「あれ?ウィンディ?」
ラオトは辺りを見回したが、どこにもウィンディの姿はなかった。
「どこ行ったんだ?拗ねてどっか遊びに行っちゃったのか?」
ウィンディが居ないと羽のないラオトは今いる木の枝の上から動けない為、仕方がなくウィンディの帰りを待つ事にした。それから数十分、ラオトはラボの中から聞こえる不思議な音を聞きながらウィンディの帰りを待っていると、遠くの暗闇からヘロヘロになった様子のウィンディがゆっくりとやって来た。
「あっ、おーい!ウィンディ!」
「はぁ、はぁ、あっラオト!」
ウィンディはラオトの元に急いで近寄ると、ラオトの体をガッシリと握り締め、その状態で急いで走り出した。
「お、おいウィンディ!ちょ、下ろしてくれ!」
ウィンディはラオトを掴んだまま走り出した影響で、握り締められているラオトは、まるでバトンのように激しく振り回された。ラオトは必死にウィンディの手を叩き、ウィンディに走るのを止めるように伝えたが、必死に走るウィンディには聞こえていないようだった。その必死に走るウィンディは、まるで何かから逃げているようだった。
ウィンディは必死に走り続け、あっという間に家や店が立ち並ぶフェアリウムの中心部へとやって来た。町の中心部は夜でも明るく、空を飛ぶ妖精達が、まるで蛍のように光り輝いていた。そこまでやって来たウィンディはようやく走るのを止め、ラオトを雑に地面に放っぽり出し、膝に手をつき息を整え始めた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
何が起こったのか分からなかったラオトは、振り回された事による気持ち悪さに耐えながら、ウィンディに事情を聞き出した。
「ウ、ウィンディ、なんで急に走り出したんだ?」
「あ、、、あ、、、」
「あ?」
「あそこにはお化けがいるの!!」




