小さな職人
子供の妖精は背中の小さな羽を優しく動かし店の床に着地すると、ラオトの目の前へトコトコ走ってきた。
「あれー?しらないひとだ!こんちは!」
ラオトが目の前に立つ子供の妖精の透き通った瞳に目を奪われていると、店主がこの子供の妖精、もとい魔道具職人を紹介してくれた。
「この子がこの町一の魔道具職人、ロメちゃんことロメウスです!見た目は幼いけど、発明と制作の腕はこの町一番なんですよ!」
「うん!わたちロメウス!」
「俺はラオトだ、よろしくなロメウス」
「よろちく!」
「ロメちゃん、このお兄さんがロメちゃんに作って欲しい物があるんだって」
「ほんとに!なになに!」
ロメウスは、まるではしゃぐ子犬のようにラオトの足にしがみついてきた。
「らおとおにいちゃん!わたちにつくってほちいものってなに!」
「あーロメちゃん?その話は設計図を描きながら話した方が良いんじゃない?」
「そうだった!それじゃあおにいちゃんついてきて!」
そう言うと、ロメウスは勢いよく店の外へと飛び出し、そのままどこかへ飛んで行った。
「おーい!待ってくれ!」
「お客様、早くロメちゃんを追ってください!」
「あ、あぁ、色々ありがとうな」
「いえいえ、またのご来店をお待ちしてますね」
ラオトは急いで店を出ると、店の外で待機していたウィンディの手に飛び乗った。
「ウィンディ!あの子供の妖精を追ってくれ!」
「分かってるよ!しっかり掴まっててね!」
ウィンディはラオトが落ちない程度の駆け足でロメウスを追いかけた。
ウィンディとラオトはロメウスを追いかけ続け、ようやくラボへ辿り着いた頃には、辺りには店や家などが一つもないフェアリウムの奥地へとやってきていた。ロメウスはとある大木の枝に止まると、こちらに向かって大きく手を振ってきた。
「おにいちゃん!こっちこっち!」
「そこに乗れば良いんだな?ウィンディ頼む」
ウィンディは枝に向けて精一杯手を伸ばし、その隙にラオトはロメウスのいる枝へと飛び乗った。
「こっち!ここからはいってね!」
ロメウスは枝の上を勢いよく走っていき、木の表面のドアの奥へと入っていった。それに続いてラオトもドアの奥へと進んでいき、この静寂の中には、ラボに入れないウィンディだけが取り残された。
「、、、え?私はお留守番?私も魔道具職人の作業を見たいよ!」
そのウィンディの悲痛な叫びは、ラボの中に入っていったロメウスやラオトには届かなかった。
ロメウス
好きな物、甘いシロップ 発明 妹
嫌いな物、辛い物 黒
職業、魔道具職人
使用属性、草
フェアリウムで生産されている人気な魔道具ほぼ全ての設計者で、フェアリウム町長の姉。
見た目からも分かる通り、精神年齢はまだまだ子供で、話し方や考え方なども未熟な点が多々見られる。しかし、ロメウスはその柔軟で独創的な考え方と、大人には真似できない圧倒的な知識の吸収スピードを活かして魔道具職人として生活している。そんなロメウスが作る魔道具達は、他の町や国から魔道具目当てにフェアリウムを訪れる人がいるほど人気で、各地に根強いファンが存在する。
姉のロメウスは幼い見た目で、妹の町長はラオトほどの年齢の見た目をしているのかは、ロメウスと町長しか知らないという。噂によると、過去に行われた何かの実験の結果、姉と妹で年齢が逆転するという事情が起こってしまったと言われているが、真偽は定かではない。




