妖精族
ラオト達の目の前へ飛来した妖精族を自称する小人、その見た目は、確かにラオトが妖精と聞いて想像した通りの見た目をしていた。手のひらサイズの小さな体に、背中から生えた不思議な模様の4枚の羽、そして思わず見惚れてしまう可愛らしい顔など、まさにファンタジーの世界に出てくる「妖精」を体現した見た目をしていた。しかし、一箇所だけ、ラオトの思う妖精のイメージには合わない箇所があった。
「なぁ、その頭に付いてるのはなんだ?飾りか?」
その言葉を聞いた妖精は、顔を赤くしラオトをポカポカと叩き出した。
「か、かかかか飾りだと!?なんて失礼な奴なんだ!お前はこの町に入れてやんないぞ!」
ラオトは大して痛く無い妖精の攻撃に耐えながら、妖精の頭からピンと伸びた糸のような物を観察した。すると、その糸も合わせた妖精の全体像は、あの生き物によく似ている事に気がついた。
「お前、なんか蝶みたいだな」
妖精は叩くのをやめ、ポカンとした顔でラオトを見つめた。
「なに当たり前のことを言ってるんだ?」
「え?」
ラオトは後ろから視線を感じ、思わず振り向くと、後ろに立っていたサリディも妖精のようにポカンとした顔をしていた。
「えっと、どうしたんだ?そんな顔して」
「いや、妖精族が蝶なのは当たり前だろ?」
「そう、、、なのか?」
「私が教えよう!」
ウィンディが一冊の本を持って、サリディの後ろから颯爽と登場した。
「え?なんだこの本?」
「妖精族について書かれた本だよ!ラオトが妖精族を知らないと思って、ヴェルンドで買っておいたんだ!」
「そんなの買ってたのかよ!」
ウィンディが本を開くと、そこには蝶と妖精族の類似点や妖精族の特徴についてが詳細に書かれていた。
「えーっと、あ!ここ見て!」
ラオトがウィンディの指差す箇所を見てみると、そこには「妖精族は獣人族のように、魔獣が大量の魔力を浴びた事による突然変異によって生まれた」と書かれていた。
「へぇー、つまり、妖精族は蝶の獣、、、」
ラオトが蝶の獣人と話そうとした瞬間、その事を察知したウィンディが、急いでラオトの口を塞いだ。
「な、なんだよ急に!」
ウィンディは険しい表情でとある箇所を指差した。
「(なになに?妖精族と獣人族は、歴史的事情から絶対に分けて表記する事?)」
ラオトが殺気を感じ、恐る恐る目の前を見てみると、そこには先程までの可愛らしい顔からは想像がつかないほど恐ろしい顔をした妖精がいた。
「あっ」




