妖精族の町フェアリウム
「でね!私は黒鉄兵達のリーダーになったんだよ!」
「すげぇ!マジかよ!それで、その後はどうなったんだ?」
「その後はねぇ、、、」
メレアの話題によって気まずくなってしまった場の雰囲気を戻す為、スティアとサリディの明るい性格組は一つの作戦を実行した。スティアはプリズン山脈での出来事を体を使って大胆に表現し、それにサリディが大袈裟に反応する事で皆を盛り上げるという、いたって普通な作戦だったが、その2人の陽気な様子は、気まずくなっていた場の雰囲気を明るくするのに効果覿面だった。スティアとサリディに釣られ、皆の会話はどんどんと増えていき、やがて、ラオト達とサリディ達が再開した時の熱量まで戻っていた。皆、気まずくなっていた事など忘れ、旅の途中で見つけた絶景や、キオンとの激闘などの話題で盛り上がっていた。
ラオト達がオススメの宿の話で盛り上がっていると、遠くの木々の奥からぼんやりと光が見え始めていた。
「うん?なんか木が光ってるぞ?」
「おっ!そろそろフェアリウムに着くぞ!」
「おぉ!遂に着くのか!結構長かったな」
「ふぅ、やっと休める、、、」
サリディ達3人はまだまだ体力がある様子だったが、ラオト達5人は今までに起きた様々なハプニングのせいで、もう走ることはできないほど疲労していた。それでもラオト達は疲れた体を必死に動かし続け、ようやく妖精族の町フェアリウムへとたどり着いたのだった。
サリディに案内され、門状に成長した木の下をくぐると、その先はグリンティアとはまた違う、植物だらけの町並みが広がっていた。グリンティアのように多種多様な植物があるのは変わりないが、グリンティアに比べ、フェアリウムに存在する植物はどれも不気味な模様や色合いをしており、放つ魔力の量も凄まじいものばかりだった。また、フェアリウム内には濃い魔力が漂っており、そのせいか、所々に天然の草属性や毒属性の魔水晶が出来ていた。ここまででもグリンティアとだいぶ違う町並みだが、それ以上にフェアリウムにはグリンティアとの大きな違いがあった。
「なぁ、あの鳥小屋みたいなのはなんだ?なんか飼ってるのか?」
「飼ってるだと!お前失礼だな!」
「え?」
ラオトが声のした方向を見てみると、そこには小さな木の枝に座っている羽の生えた小人が座っていた。
「おぉ!!小人だ!」
「小人族じゃないぞ!妖精族だ!」
その妖精は背中の羽をパタパタと羽ばたかせながら、ラオトの目の前へとやってきた。
フェアリウム
主力、魔法
規模、小
エントモス熱帯林の奥地に存在する妖精族の町。大昔はこの町以外にも至る所に妖精族の町が存在したが、獣人族との戦争でフェアリウム以外の町は無くなってしまい、エントモス熱帯林の奥地という外敵から身を守るのにうってつけの位置に存在したフェアリウムしか妖精族の町は残っていない。
エントモス熱帯林の奥地は防衛には最適だが、その代わりに他の町との連絡や貿易が非常にやり難く、数十年前に町同士を繋ぐ画期的な連絡手段が確立されるまで、他の町や国から孤立した状態となっていた。その頃の孤立していたフェアリウムは貿易が盛んな他の町に比べて技術力が大きく遅れており、連絡手段が確立されても他の町や国からは数年の間見下されていた。しかし、孤立していたフェアリウムが遂げた独自の技術が世界に披露されると世間の評価は一変、フェアリウムは「技術の遅れた町」から「魔道具技術の最高峰」と言われるまでになり、今でも魔道具目当ての冒険者が己の危険を顧みずエントモス熱帯林の奥地まで足を運んでいるのだ。




