背中の違和感
ウィンディはラオト達から少し離れて歩き、何かを探しながら、思いついた計画の実行タイミングを伺っていた。しかし、スティアは天使、天使は相手の考えている事がうっすらと分かる為、ウィンディが何か良からぬを企んでいる事がスティアには分かっていた。
「えっと、、、ウィンディ?なに探してるの?」
「えぇ?なんでもないよぉ?」
「絶対に悪いこと考えてる!私には分かるんだからね!」
「何を言っているのだ堕天使?ウィンディは悪い事など考えていないではないか、それより見たまえ、あそこに何かの抜け殻が、、、」
「ぎゃぁぁぁ!!」
ウィンディの意図を察したアレスも会話に加わり、ウィンディの計画成功の為、必死にスティアの気を逸らした。
「見ろ!虫が果物にたかっているぞ!」
「気持ち悪!こっちに来ないよね?」
「どうだろうな、試しに魔法でも撃ってみるか?」
「やめて!絶対やめて!やったらアンタにかかってる魔法、全部解除しちゃうからね!」
「我は別に構わんぞ、虫がいくら寄ってこようが、我の体に引っ付くわけではないからな」
「くっ、なんでコイツは虫に耐性があるのよ!」
「堕天使!体に虫が付いてるぞ!」
「え!?どこどこどこどこどこ!?早く取って!!」
「フハハ!嘘に決まっているだろう、そもそも天使なのだから、体や服に虫は付かないではないか」
「あ、、、そうだった」
「全く、堕天使はなぜ虫が苦手なのだ?天使や悪魔になった我々にとっては、ただの無害な生き物ではないか」
「いーや!目に映るっていう害があるから!それと、不快な音を耳にするっていう害も!」
そんな事を話しているスティアの元に、何かをこっそりと持ったウィンディが近づいてきた。
「二人に豆知識を教えてあげようか?」
その声と同時に、スティアは背中に少しの違和感を感じた。
「うん?ウィンディ、なんかした?」
「え?なんにも?それより豆知識聞く?」
「豆知識か、なんだ?」
「二人はさっき、天使と悪魔には虫は付かないって言ってたけど、実はこのエントモス熱帯林には、天使と悪魔にもくっつく虫が居るんだよ!」
「なんと!それは初耳だな!」
「え、、、」
興味深そうに話を聞くアレスに対し、スティアはその話を聞くと、みるみる顔が青ざめていった。
「その虫は握り拳くらいの大きさでね、天使と悪魔の背中にくっついて、魔力を吸っちゃうんだって」
「面白い生き物だな」
「、、、」
スティアは絶句した。背中に感じる違和感の範囲が、まさに握り拳ほどの大きさだったからだ。
「そして最後、その虫は放っておくと、、、」
「放っておくと?」
「仲間を呼んで、獲物の体を埋め尽くしちゃうんだって!」
「っ!!」
スティアは、おもわず体が虫に覆われている姿を想像してしまった。絶対にそうなりたくなかったスティアは、即座に背中の虫を排除するべく、特大の光魔法を背中に放った。
「死ねぇぇぇ!!この害虫がぁぁぁ!!」




