さらばヴェルンド
ヴェルンドでの心残りを存分に楽しんだラオト達は、夜になると共に満足した様子で宿へと集合し、明日に備え、早めに就寝したのだった。
そしてついに、ヴェルンドから出発する日の朝が訪れた。だからといって皆の様子が変わる事はなく、いつも通りホルスが一番に起き、寝ている皆を起こし、身支度をした済ませた後、宿のレストランで食事をとり、宿から出発する。そんないつもの見慣れた光景だったが、もうこの部屋やこの宿の食事とは会えないと思うと、やはり寂しい気持ちになるのは皆同じだった。
「この部屋ともお別れだね」
「そうだな」
「不思議だね、泊まっていたのはほんの数日なのに、こんなに愛着が湧くなんて」
「まぁ、その数日に色々あったからな、その疲れをゆっくり癒せたのはこの部屋のおかげだ」
「そうだね、ありがとうこの部屋!」
ラオト達は部屋を出ると、泊まっていた部屋を名残惜しそうに見つめながら、扉をゆっくりと閉めた。
宿を出たラオト達は、エントモス熱帯林へ向かう道があるヴェルンドの北門へと向かった。すると、そこには大勢の黒鉄兵とヴェルンドの住民達が辺りを埋め尽くしていた。
「おぉ!勇者様が来たぞぉぉ!!」
その声がきっかけとなり、その場は大きな歓声に包まれた。ラオト達は黒鉄兵が空けておいた道を住民達に見守られながら通り、門の前にいるシュミトとシュデンと合流した。
「ついに出発じゃな」
「そうだな、、、」
「なんじゃ?寂しいのか?」
「まぁな」
「そうか、、、お主らの旅が終わったら、いつでもこの町を訪れるといい、盛大に歓迎するぞ!」
「ありがとうな!」
「私!絶対にこの町に戻ってくる!あの店の天使用のスイーツ、めっちゃ美味しかったし!」
「私も!スイーツを食べに戻ってくるね!」
「それは良かったのう!また食べにくるといい!」
「俺も、あのトロッコに乗る為に、絶対に帰ってくるぜ!」
「そうか!ならあの店は維持しなくてはじゃな!」
「我はもう一度、じっくりとこの町を見て回りたいものだな」
「安心するんじゃ!何十年経とうと、この町の伝統の景色は決して壊させないぞ!」
6人は、和気藹々と最後の会話を楽しんだ。その時、横から苦しそうなシュデンの声が聞こえた。
「親父殿、、、重いですぞ、、、」
「おっと、話に夢中で忘れておった!ホルスよ、シュデンの持っているものを受け取ってくれ」
ホルスは、シュデンの持つケンタウロス用のバッグを軽々持ち上げた。
「ふぅー、助かりましたぞホルス様!」
「それには旅用の便利品がたくさん詰まっておる、中には瓶も入っておるから、慎重に運ぶんじゃ」
「分かった」
ホルスはそのバッグを背中に固定した。
「、、、よし、それじゃあ出発するか!」
門番により、ゆっくりと城壁の門が開けられた。その先に広がるのは、エントモス熱帯林へと向かうプリズン山脈の下山道だった。
「それじゃあ、行ってくるな」
「あぁ、頑張るんじゃぞ、ワシらはお主らの味方じゃ、助けて欲しいことがあったら、いつでも町長経由で連絡するんじゃ!」
「あぁ!」
「皆様のご健闘をお祈りしておりますぞぉぉ!!」
「ありがとうな!」
ラオト達は最後に、黒鉄兵達、そしてヴェルンドの住民達の方を向き、大声で別れの挨拶をした。
「みんな!!ありがとう!!俺達頑張るな!!!」
黒鉄兵や住民達の歓声を背にし、ラオト達はいよいよヴェルンドを出発した。目指すは十災魔神ブラキナのいるエントモス熱帯林!




