薄いスティア
剣がスティアの頭の上に差し掛かり、いよいよ振り下ろそうとした時、剣に異変が起きた。
「うん?」
スティアが力を抜いた瞬間、剣がスティアの魔法の静止を振り切り、ぐんぐんと加速しながら勢いよく地面へと振り下ろされた。
「ドカーーーン」
大きな音と共に剣が地面に衝突した。その様子は、剣が魔法陣を綺麗に一刀両断するのではなく、ハンマーのような鈍器で思い切り叩き壊しているようだった。
その様子からも分かる通り、魔法陣の周辺の地面は砕け、その衝撃は壁にまでヒビが入る程だった。しかし、それだけでは終わらなかった。剣が魔法陣に直撃した直後、なんと魔法陣が大爆発したのだ。
「危ない!!」
咄嗟にシールドを張ったウィンディとアレスのお陰で、ラオト達が爆発に巻き込まれる事はなかった。しかし、そのシールドの中にスティアは居なかった。
しばらくすると辺りを漂っていた砂埃が止み、目の前には砕けた魔水晶と瓦礫の山が広がっていた。シールドから出たラオト達は、真っ先にスティアを探し始めた。
「スティアーー!大丈夫かーー!」
「おーーい!スティアーー!」
5人で手分けしながら瓦礫を退けていると、中から体が薄くなったスティアが出てきた。スティアは痛みなどは感じていなかったのか、すんなりと瓦礫から這い出てきた。
「うぅ、、、酷い目にあった」
「え!?体が薄くなってる!?」
「え?」
スティアが自分の体を見てみると、確かに体が薄くなっていた。
「あ、本当だ!久しぶりになった!」
「え?体調とか大丈夫なのか?」
「うん、全然ヤバいよ」
「えぇぇ!」
他の箇所でスティアを探していた4人も集まり、ラオトら6人は起こったことを整理し始めた。
「スティア、大丈夫なのか?」
「大丈夫だって!時間が経てば治るから!」
「堕天使を構成している魔力が先程の爆風で吹き飛ばされてしまったのだな、我も昔一回ほどなった事があるのだ。時間が経てば自然と治るから、安心すると良い」
「そうなのか、なら安心だな」
「まぁ、今の状態で再び刺激を受けると、今度こそ本当に消えてしまうのだがな」
「えぇ!?それってヤバいじゃん!早く治す方法とかないのか?」
「我がやっていたように、辺りの空気中の魔力を一気に吸収すればすぐ治るのだが、、、」
アレスはスティアの方を見ながら、憎たらしい声で話し始めた。
「この堕天使は、どうやらここの魔力は吸収したくないようだな。確か、、、ここの魔力は汚い、だったか?」
「、、、」
スティアは今の状態があの時のアレスと全く同じ事に気がついていた。ここで魔力を吸収してしまえば、アレスに言っていた挑発が、全て自分に返ってきてしまう。それは嫌だったスティアは、泣く泣く魔力を吸収するのを諦めた。




