対魔法陣の剣
一通り話し終えたラオト達は、改めて目の前に広がる魔法陣と向き合った。
「それで、これってどう処理するんだ?そもそも、魔法陣ってどうやって無効化するもんなんだ?」
「普通の魔法陣なら、魔法陣を維持している動力源を破壊して、あとは普通に魔法陣を掻き消しちゃえば良いだけなんだけど、、、この魔法陣をそう簡単に処理できるかなぁ?」
「俺も同感だな、コイツは俺が今まで見てきた魔法陣の中でも最強の魔力を放っている、従来の方法でコイツを処理しようとしたら、逆に俺達が処理されちまうな」
「そうなのか、、、それじゃあどうしよう」
「私にお任せを!!」
魔法陣の処理法に悩むラオト達の前をシュデンが颯爽と飛び出し、魔法陣の前でドンと決めポーズをした。
「何かあるのか?」
「もちろんでございます!!我々ヴェルンドの民は、長きにわたってこの城を魔王軍から奪還する事を夢見てました!それすなわち!この城の中にある魔法陣の対処法も昔から考えてきたのですぅ!!」
「ほう!シュデン君!その方法とは!!」
「それは、、、」
皆が息を呑みながらシュデンを見つめている。シュデンはそんな皆の期待に応えられるとウキウキしながら、背中に背負っていた剣をラオトに渡した。
「こ、これは!?」
シュデンから渡された剣は非常に重く、剣の先から持ち手の部分まで、ありとあらゆる箇所に勇ましい飾りがされており、ラオトは手に持っているだけで力が湧いてくるような気がした。しかし、それと同時に、ラオトには一つの疑問も湧いていた。
「(この剣、物を切るにしては、なんだか刃の部分が分厚いような、、、)」
そんなラオトの疑問も分からぬまま、シュデンはこの剣について大声で説明を始めた。
「これは我が町の誇る最強の対魔法陣用の剣!!その名も「超最強魔法陣木端微塵黒鉄大剣弐」です!!」
「名前長すぎでしょ!!」
名前の長さと装飾にドン引きするウィンディとスティアとは反対に、ラオト、ホルス、アレスの3人は、そのクールな名前と見た目に、思わず目を輝かせていた。
「超最強魔法陣木端微塵黒鉄大剣弐、、、かっけぇ!」
「な、なんで名前を覚えられてるの、、、」
「ほんと、男って子供っぽいよねー」
「何を言ってるんだ?これは女でも興奮するだろ!」
「いやぁ、、、」
残念な事に、男性陣の思いは女性陣には届かなかった。
「それで、これはどう使うんだ?」
「はい!使い方は至ってシンプル!ただこの剣で魔王陣を一刀両断するだけですぞ!」
「えぇ!?そんな簡単に魔法陣を処理できちゃうの?」
「えぇ!我々の技術を持ってすれば、これくらい朝飯前ですぞ!」
「へぇ、確かにヴェルンドは技術力は高い方だけど、まさかこんなにも技術力があったなんてな」
「お褒めに預かり光栄です!!」
「、、、それで?誰が魔法陣を斬るの?」
その一言でその場は凍りついた。剣をシュデンから受け取ったのはラオトだったが、それは単に近くに居たのがラオトだっただけで、誰が魔法陣を斬るのかはまだ決まっていなかった。そんな静寂の中、まず最初に手を挙げたのはスティアだった。
「私、せっかくならやってみたいなぁ〜」
「堕天使よ、一つ言っておくが、今回キオンを倒して魔法陣まで辿り着けたのはラオトのおかげなのだぞ、ラオトがキオンを自作魔法で倒したおかげで我々はここにいるのだ、今回はラオトに譲ったらどうだ?」
「うん、私もそう思う」
「そうだな、今回はラオトに花を持たせなきゃだな」
「そんなぁぁぁ!!」
スティアはラオトに飛びつき、今にも泣き出しそうなうるうるとした目でラオトに懇願した。
「お願いラオト!私にやらせて!!」
スティアの必死な懇願に心を打たれた訳ではないが、特に魔法陣を斬る事に固執していなかったラオトは、すんなりとスティアに魔法陣を斬る役を渡した。
「分かったよ、そんなにやりたいならスティアに任せるよ」
その言葉を聞いたスティアは表現が一変し、先程までの泣きそうな顔から、眩しいほどの満面の笑みへと変わった。
「ラオトありがとう!!ラオト大好き!!」
スティアはラオトから剣を受け取った。受け取ったと言っても、実体のない天使のスティアは剣を持てない為、剣をスティアの手の位置に合わせて浮かせ、スティアが実際に剣を持っているように見せていた。
「それじゃあ、、、いくよ!!」
スティアは剣を大きく振りかぶり、そのまま勢いよく剣を魔法陣に振り下ろした。




