お試しの被害者
声の聞こえた方に急いで駆けつけたラオト達、そしてたどり着いた広場の真ん中には、あまりの痛みになりふり構わず暴れまわっているスティアが待っていた。スティアはラオト達に気がつくと、痛みを我慢しながら、必死に助けを求めた。
「み、みんなっ!助けてぇ!急にっ!霧がっ!戻ってきたの!ぎゃぁぁぁぁ!!」
巻き込まれるのが嫌だったラオト達は、少し離れた位置からスティアを観察していた。
「ふっ!なんと滑稽な姿だ!」
「てか、なんで城の中にスティアが居るんだ?」
「後で話すから!!今は助けぎゃぁぁぁ!!」
「そ、そうだな、あの魔道具を停止させないと」
「私が行ってきますぞ!」
シュデンに感謝を言おうと振り返ると、既にシュデンの姿は無かった。それからしばらくして、城の地響きと共にスティアも痛みから解放され、だんだんと落ち着いていった。痛みが無くなったスティアは、急いで身体中に回復魔法をかけ、そのまま座り込んでいた。
「ふぅぅぅ、まさか私が城に入った途端、また霧が出現するなんて、、、魔王軍め!許さない!」
「魔王軍、、、そ、そうだな!魔王軍め!卑劣な真似を!」
「ほ、ほんとほんと!魔王軍サイテー!」
スティアは今の出来事は魔王軍の罠だと思っているらしい、それを利用して、今回は魔王軍に濡れ衣を着てもらう事にした。それに気づいたウィンディも、急いでラオトと口を合わせた。
「、、、それでなんだが、なんでスティアは城に入ってきてるんだ?外で寝てるんじゃなかったのか?」
「フッフッフッ、私だって寝ててチャンスを見逃すほど馬鹿じゃないのよ!外で城の装飾を眺めてたら突然城の霧が晴れたから、これはチャンスだと思って、みんなと合流する為に城に入ってきたの!けど、それが魔王軍の罠だったなんて、、、」
「罠だとしたら、随分と見え見えな罠に引っかかってしまったのだな」
「うるさい!!私はみんなを助ける為に、一目散に城に入ったのよ!罠かどうかなんで気にしてる暇ないでしょ!」
「敵などもう居ないではないか、なるほど、堕天使は一人で寂しかったのだな、お願いしてくれれば、よしよしくらいしてやろう」
「うるさい!!アンタからよしよしされるなんて、想像しただけで気持ち悪い!」
そんな事を話していると、息を切らしながらシュデンが戻ってきた。
「ただいま戻りましたぞ!」
「おぅ、ありがとうな!」
「そういえば、シュデンはどこ行ってたの?私が暴れてる時は居たよね?」
「はい!スティア様を助ける為、魔道具を」
シュデンが真実を話そうとしていたので、ラオトとウィンディは急いでシュデンの口を塞いだ。二人の様子から、シュデンもこの事を言わない方が良い事を理解し、その後はもうこの話題には戻らなかった。
「あの魔道具の正体も分かったし、スティアとも合流できた事だし、次は、、、いよいよあそこに行く番だな!」
「あぁ、そうだな」
「うん!私達のお目当ての物がある、あの扉だね!」
「え?私達のお目当て?なんかあったっけ、お宝とか?」
「何を言っているのだ、我々がこの城を目指した理由を忘れたのか?」
「、、、あぁ!アレね!」
「よし!それじゃあシュデン、俺達を案内してくれ!」
「お任せください!」




