夜勤業務は基本男性なようですが、わたしは例外だそうです
現在担当している。当家の出棺を終えて、火葬場から戻ったお客様の食事、その後の初七日法要。そして、お客様のお宅にて事後の死亡診断書のコピーの取り扱いや四十九日の忌明け法要をこちらでやる予約をもぎ取ったり、その忌明けまで遺骨や遺灰、遺影写真などを飾る中陰壇を組み立てと説明などを終えた。ちなみにこの当家も裏社会の人間である。事情に深入りするきはないが、負の遺産ならぬ負の遺品整理も依頼を受けた。
そして、問題の次の施行に移ることになる。
基本的には、一施行の当家を専任で担当するのだ。ざっくり言えば、その当家の通夜の準備と段取りをして、実施、そして、食事や明日の段取りと事後処理あたりで1日の仕事は終わり。次の日の告別式、出棺して、片付けて、掃除して、食事と法要、その後、お客様と打ち合わせして、他事後処理とかして、二日間の仕事は終わる。
しかし、人手不足で忙しいと掛け持ち、スライド、引き継ぎはよくあることである。担当の当家の対応が終わって終業と思ったら、今日の通夜入ってとか言われて仕事とはいえ、うわっとなる。ちなみに給料は固定残業…基本給は低くて手当で底上げしてあるのだ。
表側の事情とかも含めて、基本的に女性スタッフは夜勤業務には携わらない。夜勤者は、夜に亡くなった方への緊急対応や深夜の会館でのトラブルなどの業務を行うのだが…
わたしの過去の経歴のせいで、例外として夜勤業務をやらされている。
『葬儀屋』とは親会社と言うほど強いつながりではない、あくまでもマージンを払ってシステムの一部を使用しているだけなので、何があっても自己責任で助けてくれない。しかも、もし上に損害が被る事態になれば言葉にするのも恐ろしいことになるおまけ付き。
話はずれたが、何がいいたいかと言うとこの会社はよくある大企業の顔色を伺う人手不足の中小企業と変わらないのである。
さて、愚痴っても仕事は終わらない。
事前に別のスタッフが会館へ故人様を移送しており、法要や家族葬に使用する小規模なホールに納棺され、明日の1日葬の準備は整っている。
とある報告があり、使わないにこしたことのない道具の確認と準備を終えて携帯する。
連絡が入り、娘さんに接触する前にひと仕事をしないといけない。
とりあえず、行動に移るとしよう。
まずとある人気のない場所に止まっている車のバンにこっそり近寄り、後ろのスライドドアを開けます。
次に、運転席と助手席、後部座席にいる驚く四人の男性を無視して、催涙グレネードを投げこみます。投げ込んで、閉めて噴射するように、あらかじめピンを抜いてからタイミングよく投げ込むのが成功のコツです。もちろん巻き込まれないようにガスマスクをしましょう。
無力化しきれてなければ、物理的に意識を飛ばせば問題ありません。
最後に、クリーナー班に連絡を入れて、車ごと回収すれば終わりです。
娘さんと合流するまえに、結構なことをやらされた気がするが考えないようにしよう…
はやい話、娘さんにバレないように護衛しないといけないのだ。
私は式の担当と遺産を引き継ぐまで彼女を守らなければならない。正確にはうちの会社と相手組織と協議して、手を出さないようにするまでだ。
協議内容は、お宅とは彼女の父が亡くなってる上に契約をまっとうしたので縁が切れてるから、うちが中立組織として、彼女をカタギとして裏社会とは関わらない立場にあるとして後見を務めるのでよろしくといった具合だ。
ざっくりだが、そんな感じらしい。
ちなみにだが、わたしはこんなことをしたい訳ではない。
いい加減人をどつく芸風を変えたい。
殺しをしないだけましと言えばましだけど、セルフで死人つくってマッチポンプする葬儀屋とはいかがなものか…
あっくそ、よだれだか鼻水だかかスーツについてるチクショー
血も跳んでるし…最悪…
付いたのが紺の上着だけで、目立たないのが幸いだ。
誤解の内容に言うが殺しはしてない。
裏側の仕事ではあるし、まあ殺しが御法度まではいかないが、処理には殺しの仕事並みに金がかかる。社割がきくとはいえ、結構な額が給料から天引きでやってられないのだ。
お客様と会う前なんだが、しょうがない…非常用のアルコールティッシュを使おう。
社会人として、身だしなみは大切と…
よし、多分大丈夫だろう
クリーナー班がバンを回収していくのを確認してから、夜勤業務へと向かう。宿直もとい護衛だが…




