蠱毒の島
「なにしてるんですか、こんな所で」
アレックスは魔法使いギルドに所属する魔術師で、ナナクシャール島ギルド出張所の責任者でもある。責任者のくせに最低限の仕事もサボってばかりで、基本は釣りと昼寝で時間を潰し、思わせぶりな言動も多く妙に鋭く胡散臭い、というのがコウメイたちの評価だ。
「ちょっと用事あんねん」
「用事ってギルドのお仕事ですか?」
「せや」
「結界そばでの薬草採取も面倒がるアレックスさんが、魔物のわんさかいる森を一人で抜けてこんな所まで、わざわざ?」
ありえないと驚いたコズエの反応に、アレックスは眉尻を下げて情けない声で呻いた。
「ワシが怠け者んみたい言わんといて、傷つくわぁ」
「書類ためてハロルドさんに叱られてましたよね」
「当番サボってカウンターを空にして『戦友』さんたちに探されてましたよね」
「あの時は確か砂浜で貝掘りしてましたよ」
「あれなぁ、金華亭で食うた小さい貝のスープが美味かったんや」
料理は女将の気まぐれで決まる金華亭は、食材を持ち込めば客の注文に応じてくれる。先日店で出されたコウメイレシピのアサリ貝もどきのスープが気に入ったらしいアレックスは、食べたい料理のためならば海水と砂に汚れる作業は面倒ではないらしい。
「あんたら随分汚れとるなぁ。成果もあがっとるようやし。ワシ夜まで暇やし、査定するで?」
魔物の返り血と土草に汚れたコウメイたちに催促するように伸ばされた手に、シュウは虹魔石を入れた巾着袋を置いた。
「小が二個にクズが四個、まあまあやな。これのために何匹屠ったん?」
「俺たちで全部ってわけじゃねぇが、五十ちょっとだ」
「ふうん、アキラが選別しとるにしても確率はあがっとるわけか」
「……確率?」
疑問には答えず、アレックスは遮蔽巾着ごと虹魔石をシュウに返した。
「あんたら、今日はもう町に帰るんか?」
「ここには遅い昼ごはんに戻ってきたんですよ」
「今日はここで野営の予定だ」
「それがええ、日暮れまでに虹を狩れるだけ狩っとくとええわ。多少暗うなっても、ワシが目印になったるから、思う存分狩ってきたらええで」
「暗くなったらって、アレックスさんもここで野営するんですか?」
「夜にならんとワシの用事は終わらんのや」
大樹の根元で一泊と言うにしてはアレックスは軽装すぎるのだが、まあアレックスだからな、と妙に納得させられるものがある。
魔猪肉ローストの薄切りをピリ菜と共にパンに挟んだ弁当を手早く食べ、負傷の有無を改めて確認し、装備をチェックしてから六人は森に戻る事にした。
「荷物番はワシがやっとくし、晩飯期待しとるで」
コウメイたちの荷物の横に腰をおろし、サツキにもらった甘い芋餅をじっくりと味わって咀嚼しながら、糸目が手を振ってコウメイたちを送り出す。
「あの人、本当に手ぶらでここまで来たんですね」
「武器も持ってないとは」
「重いからおいてきた、ですからね」
商売道具を重いと納戸に置きっぱなしにする魔術師。
「あれは夕飯も寝床もたかるつもりっぽいですね」
「飯はいいが、寝袋に余分はねぇ。一晩その辺に転がしときゃいいだろ」
「幸い凍死の心配をする季節じゃないからな」
「夜番のシフトに組み込んでもいいんじゃねーか?」
「食事代って事でアレックスさんにも夜番を割り振る事にしましょう」
森に戻り虹魔石探知機の指示通りに魔物を狩った。日暮れギリギリまでに野営地に戻ることを考え、できるだけ近場でとなると雷蜥蜴の池が主な狩場になる。
「ワニの数は減ってねぇな」
「虹持ちの数は少ない」
「そりゃあれだけ狩ればねぇ。虹魔石って突然変異なんですよね、そんなのが数日で増えたりしないですよ」
「前回見逃した奴ってことか。また一匹ずつひっくり返すのか」
「黒ひげゲームみたいで面白かったですよね」
面倒くさいと肩をすくめたコウメイとは反対に、前回いかに電流を流さずひっくり返すかを楽しんでいたコズエは、腕まくりをし槍を握る手に力を込めた。
「全部ひっくり返さなくてもいいぞ、だいたい分かるから」
探知精度が上がったアキラには、芋洗い状態のワニ池の中から虹持ち雷蜥蜴の特定がほぼできていた。現時点で虹魔石が取れる蜥蜴は二匹、無駄な労力を使わずにさくっと狩って終わりだった。
「なあ、雷蜥蜴も食えたよな?」
「図鑑には可食とあったと思うが」
「羽蜥蜴みたいなプリプリだと思うか?」
「食べてみれば分かると思いますよ」
「コウメイさん、野営で料理するんですか?」
「串焼きと香草焼きと、すり潰して団子は時間がかかるかな」
「解体して帰りましょう! 一匹で足りますか?」
早速解体用ナイフで肉を剥ぎ取り始めたコズエの横では、シュウが手際のよさを褒めながら「美味い部位はどこか」と覗き込んでいる。魔猪やオークの解体は見たくないが、ワニの解体は平気らしい。
+++
完全に日が暮れる前に大樹の根元に戻ったコズエたちは、慣れた手順でテントを張り折りたたみ式の野営用五徳を設置して火を起こした。
「青い疾風さんと、向こうは至高の暁さんたちですね」
「疾風んらは三日目やて」
「気合入ってますね」
同じく木の結界の中で一晩を明かす予定らしい二組が、少し離れた場所にそれぞれ火をたいて食事中だった。テントは張っておらず、マントを寝袋代わりに火を囲んで寝るようだ。アレックスによれば、大きな魔石を狙うパーティーはこの大樹を拠点に数日間をかけて狩りをしているらしい。
「毎晩町に戻る方が珍しいんやで?」
シュウとアキラで採取してきた食える野草と雷蜥蜴の肉を使った香草炒めを手早く作り、粉末にした昆布で簡単に出汁を取ってムカゴと雷蜥蜴の細切れ肉で手早くスープを作った。串焼きは丁度良い距離に並べている。味付けはコウメイ特製のスパイスソルトだ。
「美味いなぁ、野営でまともな飯食えるんは幸せやで」
野営用の荷物は何一つ持っていないと思っていたアレックスは、木皿とカトラリーだけは持参していた。最初からたかるつもりだったようだ。
「アレックスさん、まだ食べるんですか?」
「疾風さんと至高さんでもご飯貰ってましたよね?」
コズエとサツキに呆れの視線を向けられても、アレックスは平然として串焼きにかぶりつきスープを飲んで野営食を堪能していた。
「疾風のメシは堅いパンと干し肉だけで味気ないんや。あれは飯やのうて餌やし、至高のスープは塩味だけで旨味もなんもあらへんから味見程度で終わらせたわ」
「アレックスさん、何しにここに来てるんですか?」
まさか夕食をたかりにわざわざやってきたわけではあるまいに。
「定期観察や。この木が周辺一帯の結界を維持しとるんはわかっとるやろ。それがちゃんと維持されとるかどうか確認するんもギルドの仕事なんや。ある日突然結界が消えてしもうたら困るやろ?」
「……結界は消えるのか?」
「今まで消えたことはあらへんけどな、大樹の魔力にムラがあんねん。結界が弱まる時もあればめちゃくちゃ強力になる時もある。ある程度の周期はつかめとるんやけど。今は弱い時期やから多少は警戒せなあかんで」
「アレックスさんがお仕事っぽい事してるなんて……」
「なんか魔術師っぽいです」
「ぽいってなんやの、ワシは立派な魔術師やで」
串焼きに香草炒め、スープとパンで食事を終えた六人と糸目は、夜番の順を決めて就寝についた。
+
深夜といわれる頃、交代のためコズエとヒロが毛布を受け取り、火のそばをコウメイとシュウに譲った。コウメイは離れた場所で同じように野営をしているパーティーの様子をうかがった。青い疾風と至高の暁も火の前で一人か二人が起きており、結界の中でも魔物への警戒を怠っていない。
「夜番って暇だよなー」
「茶でも沸かすか?」
「トイレ行きたくなるからパス」
取り留めのない話題で時間をつぶし、欠伸を堪えながら何度か薪を足した頃、明け方担当のアキラが起きて火のそばに腰を下ろした。寝汚い友人が朝になる前に起きてくるのは初めてだと、コウメイは心配そうに尋ねた。
「アキが眠れないとか珍しい、具合でも悪いのか?」
「怪我じゃないが、アレの痛みで目が覚めた」
「アレ?」
「……虹魔石のアレだ」
最近の狩りで虹魔石探知として便利に使っている魔力痛。
「森の中にいるせいか、どんどん感覚が研ぎ澄まされてきて痛い」
声はいつもと変わらないし苦痛を表情に出してはいないが、眠る事もできないほど痛むのだろう。火のそばでついたアキラのため息は重かった。
「ほんま、今夜はキツイねんなぁ」
「アレックスさん、も?」
いつの間に起きたのか貸したマントを引きずりながらやってきたアレックスが、眠気で半目になっているコウメイの横に腰をおろし、焚き付け用の枯れ枝を火にくべながら首を振った。
「ワシも虹を感じ取れるんやけど、今日は特に痛痒いんが強うてかなわんわ」
「痛みじゃないのか」
全身の痛みか、痒みか、どちらにしても苦痛なのは間違いない。虹魔石を探すのには有益な現象だが、コントロールできないのは精神的にキツイものだ。
羨ましいとでも言うようなアキラの呟きに糸目が不満そうに唇を尖らせた。
「ワシは痒いんより痛いほうがマシや。全身掻き毟りとうなるんやで」
服の上から肌を擦ることでアレックスは魔力痒をなんとかやり過ごしているのだという。逆にアキラは肌に服が触れるだけでピリピリと痛みを感じるため、できる事なら裸で居たいくらいだと嫌そうに呟いた。
「俺らはアキが全裸でも構わねぇけど、サツキちゃんとコズエちゃんが居るしなぁ」
「脱ぐわけないだろ」
どう思う? とコウメイが問いかけたシュウは、目を閉じ頭が斜めに傾いていた。
「寝てんのか」
「夜番は退屈だからな」
こくり、こくりと首が落ちる。
「寝かせておけ、夜番は俺が代わる。どうせ痛みで眠れないんだ」
揺れるシュウの身体を軽く押して横に倒し、持ってきた毛布を掛けて放置した。
アレックスが新しい枯れ枝を火にくべた。
パチパチと、弾けるような音がする。
生木だったのか、煙がふわりと浮き上がった。
「ワシも朝まで付き合うで。こんだけ痒いと眠気も感じんわ」
その煙を、甘いと感じた。
瞬時に、コウメイは焚き火に水をぶちまけていた。
「あれ、気ぃつかれてしもうたんか」
「ふざけるなよ、クソ魔術師!」
喉元に切先を突きつけられているというのに、アレックスの表情は変わらない。糸目をさらに細くし、口角は笑みの形に固まっている。
「あんた、向こうのやつらも眠らせたな」
「あたり。こんなに早う気づかれると思わんかったわ」
「何度も同じ罠に引っかかるような間抜けじゃないんでね」
甘い煙で眠りに落ち苦汁を飲まされた経験は忘れられるものではない。
「何が目的だ?」
「アキラと秘密の話をしたかっただけや」
「秘密の話だぁ?」
アレックスに警戒と殺気を向けたままコウメイは横目でアキラを見た。血の気の引いたアキラは、身動きする事すら苦痛だと言うように硬直し、森を凝視している。
「痛みが酷うなって身動きでけんのやろ?」
「空の色が、変わりはじめてから……だんだんと酷くなる、なんなんだ、これは」
「アキ?」
空の色が変わった?
「コウメイには見えへんよ。あれは虹狩りの光やからな」
「虹、狩りだと?」
コウメイの目には見慣れた夜の森としか映らない風景が、アキラには全く別の物に見えていた。
「何が見えてるんだ、アキ?」
「虹色の薄い幕……その向こうで大勢が戦っているように見える。八岐大蛇を一刀で屠り、何体ものゴブリンキングを風刃で切り刻んで」
巨大なヘルハウンドを、角を持つ巨獣馬、オーガの集団、牛頭の巨人、羽のない竜。戦ったことのある魔物やいまだ遭遇した事のない魔物。いとも容易く屠ってゆく人々。
「……あれは、エルフ族」
「なに?」
「たくさんのエルフ族が、戦っている」
シルエットでしか分からないが、だからこそその特徴は明らかだ。細身の身体に、長く尖った耳。エルフの集団が強大な魔物を狩っていた。
「やっぱり見えるんやなぁ」
アキラの視線の先を追ったアレックスは悔しそうに眉をしかめた。
「ワシな、感じることはでけるけど、見えへんのや」
「見えないのか?」
「でっかい虹魔石が取り出されて持ってかれてるなぁ、ていうんは感じ取れるんやけど」
アレックスは東よりの森を指差した。
「あっちでかなりの大物が屠られて、たぶん拳くらいの虹魔石が取れたん違う?」
「……」
「こっちのは大勢の魔物がいっぺんに死んで、中サイズの虹魔石が取り出されとるし、南の奥の方で、かなりでっかい竜種からワシの頭くらいの奴が取り出されたん違う?」
「……本当に、見えてないのか?」
アレックスの説明はまさにアキラの見ている幻影だった。エルフたちはいとも簡単そうに魔物を屠って虹魔石を手に入れている。やがてエルフたちは狩りを終え、集めた虹魔石を持ち去っていく。一人二人と姿を消すエルフの、最後の一人が立ち去ると同時に森を覆っていた幕が取り払われ、アキラの視界は元に戻った。
「終わったようやな、楽になったわ」
肩を揉みながらそう言ったアレックスの言葉に促されるようにして、アキラも詰めていた息を吐いた。身じろぎするたびに襲う激痛は、幻影が消えるのと同時に消えていた。コウメイに差し出された水筒から水を飲んでやっと落ち着きを取り戻したアキラは、細目の魔術師を睨みつけた。
「あれは何なんだ? 説明してくれ」
「んー、何やと聞かれてもワシは感じ取っただけやしなぁ」
アレックスは水を被った薪に手をかざし、乾燥と発火の魔術をかけた。再び燃え上がる炎を見つめ「どないしょうか」ともごもご言っている。
「俺には説明できる知識がない、あれが何なのか……この島はなんなんだ?」
「それを説明する前に確認やけど、エルフが狩りしとったんは間違いないんやな?」
「シルエットだったが、あれは獣人ではなかった。エルフだ」
「断言できるんやな、そうなんや……」
視界の隅でさりげなく焚き火に枯れ枝をくべようと動いたアレックスの手を、コウメイは鞘の先で叩いて制止した。また眠り毒を仕込まれてはたまったものではない。
「暴力反対やで」
「ふざけんな」
アレックスが説明を回りくどくしていたのは、核心部分をコウメイに聞かせるつもりがなかったからだろう。だが眠り毒は見抜かれ、魔術はアキラに阻まれる、力づくは最初から選択外。肩をすくめたアレックスは開き直ったようだった。
「この島はな、エルフの牧場や」
「牧場?」
話を逸らす気かと睨みつけるコウメイに、アレックスは「急かさんといて」と返して続けた。
「獣人やエルフが世界に壁を作って逃げ込んだことは知っとるやろ。人族が入り込めんように築いた壁は、エルフの魔力で造られとるていわれとる」
「それは」
無理なのではないか、と言おうとしてアキラは「牧場」と言ったアレックスの言葉を理解した。
「せや。いくら魔力をたんまり持っとるエルフでも、世界を隔絶する壁なんちゅう物をそうそう簡単に作れるもんやない。莫大な魔力が必要な物に、同胞愛の強いエルフが人柱たてるはずがあらへんしな。ちゅうことは他に魔力源があるはず」
「それが虹魔石か」
コウメイはアレックスの喉元から剣先を引き鞘に納めた。警戒は緩めないが、興味深い情報は聞き逃せないと話題に加わった。
「ゴブリンにオーク、大蛇、ヘルハウンド、ワームに蜥蜴。この島にいる奴らは多少頑丈で丈夫だが特殊なものはいねぇ。ありきたりの魔物から虹魔石が取れる理由は?」
「この島にはな、外へ出ていけん種類の魔物しかおらんのや。まるで飼われとるようやろ?」
コウメイの問いに答える気があるのかどうか、アレックスはまるで教師のような口ぶりで続けた。
「ありきたりや言うけど、傾向はあるんやで」
「面積の割りに魔物の種類も数も多いが、肉食に偏っている気がする」
「正解や。どんどん魔物は増えるけど、餌が足りん。肉食の魔物どもは飢えて弱い魔物を襲って食う。島の最南端にな、巨大な魔素だまりがいくつもあるんや。それこそ百マール(十メートル)も離れてへんくらい近いところに、ぽこぽことな。湧いたばかりの魔物は腹減らしとる。間近に別種の魔物がおったら丁度ええ餌やて食いにかかる。虹魔石はな、多種喰い同種喰いを繰り返して強うなった個体の魔石だけが変化して出来るんや」
コウメイは嫌悪感に顔を歪めた。
「まんま蠱毒じゃねぇか」
「なんやの、そのコドクいうんは」
「俺らの故郷で呪いの一種だ。壷の中に百種類の虫を入れて、共食いさせて最後まで生き残った虫を使って呪いをかけたり人を殺したりする、らしい」
日本ではフィクションの中でしかお目にかかることのない呪術の説明をすると、アレックスは感心した。
「なるほど、何処にでも似たようなもんはあるんやなぁ」
「悪趣味な島だ」
「だから『狩場』ではなく『牧場』なのか」
エルフ族が虹魔石を作り出すために用意した場所。
「この島は虹魔石の牧場で、牧場主が定期的に狩りに来ているんを観察しとったんやけど、ワシそっちの方の目は潰されてしもうたから、確かめることはでけへんかった……アキラが来るまではな」
魔法使いギルドに入り、魔術師として階級を上げて島に駐在する権利を得、いつかエルフ達を掴まえてその世界に踏み込む為にいるのだとアレックスは熱く語った。
「いつかはあの壁を越えたいんや」
重く低い呟きと薄らと笑んだアレックスに、背筋がゾクリとした。
「あんた、エルフの世界に何しに行くつもりなんだ?」
「そんなん、行きたいから行くだけやで。アキラは帰りたくないんか?」
「……」
「そこで寝てる狼獣人かて、同族の村に帰りたい思うとるんやないの?」
エルフの世界に興味がないといえば嘘になる。だが帰りたいかといわれれば、否だ。アキラにとってエルフの世界は故郷ではないと断言できる。だがシュウが同じ事を考えているかは分からない。
「獣人の村もエルフの手ぇ借りて壁造っとるんから見つけるんは難しい思うわ。獣人族につなぎたかったら、島に狩りに来るんを待つしかないで」
獣人は定期的に島にやってきて、魔物を狩り大量の虹魔石を持ち去っているという。
「獣人はエルフが狩ったあとのおこぼれを回収に来とるんやろな。人族がチョロまかしとるんも見逃してくれとるし、ほんまにここは有益な島やで」
人族にとっても虹魔石は巨大な魔術を維持するためのエネルギー源でもあり、複雑で繊細な魔武具を構築するための触材でもある。虹魔石がなければ国家間の転送術は維持できないし、各国の保有する魔武具を戦力として活用するためには欠かせないものだ。
「今夜の狩りでエルフにあらかた虹魔石を持っていかれてもうたから、しばらくは何を狩っても取れへんと思うで」
コウメイはしばらくは釣り三昧だと楽しそうなアレックスから目を逸らし、真偽はどうなのだとアキラに視線で問うた。
「全く何も感じなくなった。おそらく、俺たちが狩れる魔物で虹魔石が残っているものはない」
「それは……シュウが悔しがるだろうな」
アレックスの焚いた眠り毒を吸ったシュウは、むにゃむにゃと寝言をこぼしながら幸せそうに熟睡していた。
※エセ関西弁で解説させるの、難しすぎました。




