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偽物の恋人──あなたのいたアトリエ  作者: あおき華


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2話

 ソフィーはブライベリー伯爵邸を訪ねていた。2歳年上の友人ヴィクトリアの出産祝いだ。


「うわぁ。なんて可愛いの!ほらこの小さい手足!あ、笑ったわ!」

「ソフィー、抱っこしてあげて」

「いいの?」

「ええもちろんよ。私の大親友だもの」


 ソフィーは恐る恐る小さな赤ん坊を抱っこした。温かくて柔らかい。


「ふぅ、可愛すぎてさらいたくなるわ」

「だめよ」


 ヴィクトリアが笑った。


「私がソフィーおばさんよ。これからよろしくね、未来の伯爵様」


 赤ん坊のオリバーは一生懸命手を動かして答えた。


 ドアがノックされた。


「ヴィクトリア、入っていいかい?」

「ええ」


 ヴィクトリアの夫、ダニエルが入ってきた。


「やあソフィー、来ていると聞いて」

「こんにちはダニエル。本当におめでとう!オリバーはとってもハンサムな赤ちゃんだわ」


 ダニエルが手を伸ばし、赤ん坊を引き受けた。


「ありがとう」


 ダニエルは愛しそうに目を細めて小さな息子の頭をなでた。


「おめでとうと言えば、ソフィーの方もじゃないかな?婚約したんだって?」

「え?そうなのソフィー!どうして早く教えてくれなかったの!相手はどなたなの?」

 ヴィクトリアが急に興奮した。


 ソフィーはうろたえて、激しくまばたきをした。


「婚約なんてしてないわ」

「え?本当に?」

「ええ」


「ダニエル、誰から聞いたの?」


 ヴィクトリアが尋ねた。


「クラブにいた男だよ」

「相手は誰だと言ってたの?」

「たしか、ジョン……・スミスと耳にしたけど。詳しくは聞いてないよ」

 ダニエルが額を指で掻いた。


 ヴィクトリアが再びソフィーに視線を向けた。目に力が増して鷹のようになっている。


「知らないわ」

 ソフィーは首を横に振った。


 部屋がシンと静まり返った。


「ソフィー、何だかスッキリしないわね?」

 まだ、納得できないように、ヴィクトリアが言った。


「きっと誰かが別人と誤解したのよ」


 ソフィーはそう思って、忘れることにした。

 



 しばらくヴィクトリア達と時間を過ごした後、ソフィーは馬車に乗り、見送る二人に手を振った。



 ヴィクトリアとダニエルは仲のいい夫婦だ。

 二人の仲睦まじい様子。かわいい子供。


 ソフィーは胸に手をあてて外をぼんやりと見ながら、深いため息をもらした。

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