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神様が仕事を放棄して下界に降ります  作者: 三宮 琳
第一章〜ヒズミルの町の残念な人たち〜
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憧れのマイホーム

 ブヒータとかいう豚貴族を追い払ってから1日、俺はある問題に直面していた。


 家が欲しい!リリという奴隷⋯⋯冒険仲間と言おう。が加わった今、リリの衣食住の面倒を見るのも主人である俺の仕事になった。服や食事は何とかなるが住むところだ。


 毎日サキュバスの宿に二人で泊まっていたらかなりの出費になってしまう。そこで狭くてもいいから一軒家が欲しくなったのだ。


 そこで今日一日は冒険を休み、家探しに町へ出ることにした。


 「ご主人様との二人っきりのマイホーム!これはもうアタシを誘ってるんだよね?もーご主人様ったら♡」


 「そういうのは無いからな!あ、それと家事は何できる?」


 1人で勝手に妄想して盛り上がっているリリに声をかける。


 「ご主人様、サキュバスをなめたらいかんですよ!あ、もちろん物理的には大歓迎だよ♡⋯⋯家事は全般マスターしてまーす!」


 さっきから忙しいなこいつ。それにしても全般できるのか、それは助かるな。


 「家では家事を任せてもいいか?」


 「もちろん!あ、でもぉ料理はご主人様の方が上手いかも?ほらあのアップルパイ!」


 「あー、それなんだがな。」


 と言って少し気まずそうに頬をかく。


 「俺がちゃんと作れるのアレだけなんだわ。」


 「え?なんでー?あんなに上手いのに他はダメなの?」


 そうなのだ。前回は急いでいたので省略して作ってみたが、ちゃんと自分の手で作ってもアップルパイだけなら上手く作れる。


 なぜかと言うと、この理由には俺の妹が絡んでくる。


 ずっと昔、妹が唐突にアップルパイを作って欲しいと言ってきたのだが、俺は普通に神の力で創造したものを渡してやった。


 すると妹が手作りのものがいいと言って拗ねてしまった。それはもうその機嫌の悪さで下界が数個消し飛ぶほどに。


 意味がわからなかった俺に弟が理由を教えてくれた。その内容は下界で流行っている物語にアップルパイを通じて兄妹の仲が深まっていくという物があり、妹はそれに影響されていたのだと言う。


 だが、俺には料理の才能が全く無かったので俺は必死に練習を重ねた。料理の才能を神の力で無理矢理手に入れれば簡単だったのだが、妹様は力の介入が一切ない完全なる手作りをご所望だったので、まともに作れるようになるまで数年間の時間を要した。


 ちなみに俺が練習してる間の俺の仕事と、妹の不機嫌で壊れそうになっていた世界のケアは弟がやってくれた。


 そんなわけでアップルパイのみ作れるようになったのである。ちなみに料理の練習はもう懲り懲りだ。数年もずっと同じものを作り続けると頭がおかしくなりそうになる。


 「ああ、他はてんでダメだ。だから頼むよ、アップルパイならたまに作ってやれるから。」


 リリにも神の力の事を知らせるつもりは今のところないので、日常生活に使うのはリスクが高すぎる。


 「わかったよー!アタシに任せて!」


 と、そんな話をしているうちに家を売る商人の店へついた。


 「いらっしゃいませ旦那様。」


 ニコニコとしてこちらへ寄ってきたのは小太りな商人。


 「家を買いたいんだが。」


 「どのような条件で探しておいでですか?」


 「ある程度冒険者ギルドに近いと有難いな。あと広さは何でもいい、良質なベッドが欲しい。」


 その言葉を聞いて、商人はリリのほうを見た。


 「お客さんもお好きですねぇ。中々に男らしい!ええ、ええいいでしょう最高級のベッドをご用意させていただきます。」


 いやそういう意味じゃないんだけど。


 ちなみに商人の男が、リリを見てそう言った理由は、サキュバスというのは種族の習性上滅多に恋人を作らない。


 よって1人の人間と共に行動しているサキュバスは奴隷か従者がほとんどである。


 そんなサキュバスを引き連れて良いベッドが欲しいなんて言ったから、そう捉えられてしまったのだろう。いや実際奴隷ではあるのだが。


 「ちなみに旦那様は服装を見るに冒険者のお仕事でしょうか?」


 「ああ、そうだ。」


 「でしたらこちらの家はどうでしょう?」


 すると商人の男はギルドの依頼用紙のような紙を見せてきた。そこには


『屋敷のゴースト討伐。報酬、格安でその物件をお譲り致します。』


 「討伐依頼?」


 「ええ、その屋敷はもとは没落した貴族の家だったのですが、家から誰もいなくなり私共が買い取った頃にはゴーストが住み着いてしまって。幸いゴーストはその屋敷から出ることは無いのですが⋯⋯。」


 「誰も討伐して住みたがらないと?」


 「ええ、そうなんです。ですがお客様には特別な何かを感じまして。もしかしたらと思い。」


 こいつ⋯⋯そのセリフ全員に言って、誰か話に乗らないか試しているだろ。だがまあいい。


 「討伐後の屋敷の値段は?」


 「訳アリの物件なので金貨8枚のところをお客さんには特別に金貨5枚でいいですよ!」


 大金貨1枚、つまり金貨10枚で普通の家が相場だよな。それの半額とは⋯⋯そのゴーストはそんなに厄介なのか?


 ちなみにこの世界では若いうちに自分の家を持つ人はそんなに多くないらしい。多くの人間は宿や借家に住み、若くしてマイホームを持つのは貴族や大商人、有名な冒険者などだ。


 ちなみに家の相続が無いらしく、多くの家はその買い手の死と共に売り手の元に戻る仕組みになっている。


 常に同じ家を持ち続けている貴族は世代替わりの時に改めて買い直すそうだ。

 おかげで家を扱う商人はかなり儲かるらしい。


 ともあれ俺が買いたい家は決まった。さっさと討伐をこなして最高級のベッドとやらとのご対面と行きたいところだ。


 ちなみに家を買い取るのに必要な金貨5枚だが、俺はすっからかんだったのでリリが宿の仕事を辞めて俺についてくると決めた日に店主さんから貰った退職金で払う事になった。


 奴隷にお金を借りる主人とは⋯⋯。


 まあそんなこんなで次にやることは決まった。


『神王』は『幽霊屋敷』に目をつけた。






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