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静かな子
次の子は、何も言わなかった。
口を固く結んで、ただそこに、棒のように立っていた。
手を横にぶら下げていた。
視線はずっと、私の足元に落ちていた。
指先だけが微かに震えている。
珍しい、と思った。
縋りもしない、無理して笑いもしない。
ただ耐えているだけ。
これは、ただの作業だ。
「ごめんね」
口先だけの言葉だった。
私の声に、肩が少し震えた。
何も声に出さず、唇を噛み締めている。
そのせいで、微かに血が滲んだ。
―――声を押し殺している。
泣かないように、声に出さないように。
「...」
私は何も言わなかった。
これ以上の言葉は、この場に存在してはいけない。
やがてその場から、静かに立ち去った。
最後まで、私と目を合わせることはなかった。
―――よくあることだ。
そう思うようにした。




