宴の始まり
皆さんおばんです。
だいぶ間が開きましたが、4話目を投稿します。
短いですが、続きがどうなるのか気になっていただければ嬉しいです。
アルファール家は名の知れた魔学の名家であった。
しかし、当主ルクシエ・アルファールとリシーアの間に長い間子供が出来なかった為か、世間からはルクシエの代でアルファール家も終わりだと言われていた。
そんな中、双子を授かり一人は百年に一人の逸材とまで謳われていたので、リシーアにとってこれはアルファール家の再興のチャンスでもあった。
だが、もう片割れの無能な娘、リニスがいたためにアルファール家は魔学の血を引いていない出来損ないがいると、忌み嫌われる可能性をリシーアは恐れていたる。
何と言っても、今は亡きアルファール家の初代当主『クリニエス・アルファール』は最高魔学機関イソリューシャンの一人であった。
そんな名家に傷を付ける訳にはいかないとアルファール家を任されているリシーアは、ある目論みを企てていた。
リニスを暗殺するという計画を……
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噴水の掃除が終わったリニスは、身体を綺麗にしリシーアの部屋へと向っていた。
「はぁ、お母様今日は機嫌が良いといいな……」
リニスは深いため息をつきながら、重い足を前へと進める。
「そういえば今日の夜は、お母様のお友達の家でパーティーがあるってデイニーが言っていたっけ。その話かな?」
リシーアの部屋の前についたリニスは軽く二回ノックをした。
「お母様、リニスです。お入りになってもよろしいでしょうか?」
沈黙の時間。たったニ、三秒がリニスにとっては何分にも感じられる。
「……入りなさい」
扉の向こうからリシーアの声がした。
リニスは軽く深呼吸すると、音がしないよう扉をゆっくりと開き中へと入る。
「お母様、噴水の掃除が終わりましたので来ました」
「ありがとう、どうしたの? そんな下を向いて。顔を上げてお母様の目を見て話しなさい」
リニスがこの部屋に呼ばれるのは、いつも叱られるか罰を与えられる時ばかりだった為、自然と身体がこわばっていたのだ。
「ふう……リニス。こっちへおいで? お母様は今日は怒ったりしないし、罰も与えるつもりはありません」
リニスは驚いたように、目を見開きリシーアを見た。
笑っている。
久しぶりに自分に対する母親の笑顔を見たリニスはいつの間にか目からボロボロと涙が溢れ、リシーアへ飛び込んでいた。
「おかっさまあ! うわあああっ! お母様ああ!」
リシーアは愛しの我が娘を優しく包み込み頭を撫でてあげた。
「ごめんなさいリニス、貴女にばかり辛くあたったりして。お母様を許してくれる?」
「うっ、うっ……お母様は悪く、ない……私が駄目な子だからっ……」
リニスはギュッとリシーアの腕を掴み泣いた。初めてこんなに泣いた。身体中の水分が無くなるのではないのかと自分で思うほど泣いた。
「リニス、今日の夜はお友達の家に行くから貴女はお家でゆっくり休みなさい。私とコルニスだけで行ってくるから。デイニーにはうんと美味しいご馳走様を作らせるわね」
「私も行ってはいけないのですか……?」
「貴女にはアルファール家を護るという大切な役目として残ってもらうのです。お母様の気持ち分かってもらえるかしら?」
「……はい」
少し寂しいが、母親からこんなにも優しくされて、大切な役目を貰ったのだ、リニスはそれに応えない訳にはいかない。
「いい子ね……貴女はその優しい心を持ってさえいれば大丈夫よ」
「えへへ……」
リニスは照れくさそうに俯きニヤけた。
「お母様は世界一優しくて綺麗で、私の自慢のお母様です!」
「リニスったら、あまりお母様をからかわないでちょうだいね?」
「ごめんなさいお母様」
無邪気に答えると、リニスはリシーアから離れ万年の笑みを見せた。
「でもお母様はどうして今日はこんなに優しくしてくださるの?」
リシーアは口元に手を添えてクスリ笑った。
「秘密♪」
「えー! お母様のイジワル」
リニスはほっぺたを膨らませ拗ねたフリをした。
「ほら、もう自分の部屋に戻りなさい。お母様はコレから準備で忙しくなるから」
リシーアはリニスのほっぺに軽くキスをしてリニスを自分の部屋へと戻した。
リシーアの笑顔は止まらない。
この日をどれだけ待ち望んだのだろうか。
「だって……」
『だって今日は貴女が死ぬから、楽しみでしょうがないの。だから最後くらいしたくも無い母親をしてあげたのよ』




