リニス
コルニスよりかなり短くなりました(笑)
週に何話か投稿できたらと思います。仕事の合間も使って頑張ってます(`・ω・´)ノ
アルファール家の裏庭でリニスは、母親リシーアの言いつけ通りに噴水を掃除していた。いや、掃除というよりも道具も持たされていないリニスは自らの素手を使って汚れた噴水を磨いていた。
「ふー、もう少しで終わるかな……」
母親と同じ黄金の髪を濡れた手で掻きあげながら、リニスは溜息をついた。
リニスの柔らかく小さな手は、痣や無数の小傷が目立っている。
「コルニス兄様が羨ましいな、私にはどうして兄様のような魔学が芽生えないのかな……」
リニスとコルニスは双子だが未だにリニスには魔学の魔の字も芽生えていなかった。
コルニスと同じ環境を与えられリニスも独学で魔学を勉強したが、そのかいもなくリニスには魔学が使えなかったのだ。
その為か、だんだんとアルファール家ではリニスに対する希望や対応が薄れていっていた。
「リニス様」
デイニーが母屋の方からやって来て、リニスに声をかけた。
「リシーア様が、自分の持ち場の仕事が終わったら来るようにとの事です」
デイニーはリニスが産まれる前からアルファール家に仕えているメイドだ。
歳は二十歳半ば位で、良く手入れされた艶やかな黒髪を、頭の上でお団子のように綺麗に纏めている。
リニスが産まれた時から御世話をしているためか、リニスにとってマリスはお姉さん的存在となっていた。
「あっ、デイニー。もうすぐ終わるからそしたらすぐに行きますってお母様に伝えてて!」
「リニス様、どうしてこのような雑用を引き受けたのですか。言って下されば私達メイドがしましたのに……」
「いいえ、これは私がお母様から受けた仕事なんだから、私がしなきゃダメなの」
リニスは歯を見せず、少しニコッと笑いパタパタとデイニーに手を振った。
もちろん自分がしなくて良い事だと分かっているが、リシーアの言葉や命令は今のリニスにとって絶対である。
でなければ、更にリシーアを失望させるだけだと理解しているから。
アルファール家の当主、そしてコルニスとリニスの父親でもある《ルクシエ・アルファール》は帝国魔学隊の第二師団の隊長である為、家にいる事はほとんどない。
なのでアルファール家ではリシーアがほとんどを任されている。
「分かりました、では先の言葉をリシーア様に伝えてまいります。くれぐれも無理はしないで下さいね」
「ありがとう、デイニー」
デイニーは軽くお辞儀をして、母屋の方へ戻って行った。
「ふー、あと少しだから頑張らなくっちゃ!」
小さく両手をグッと握りながら頷き、また小さな手でリニスは噴水を磨き始めるのであった。




