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第三十四話《ライバル視:キリエ視点》

 グループ2。振り分けられた中にはルーナンがいた。サヤを倒した宿敵。……しかし、あのハイルが認めるほどの実力者。

 同じグループだと喜ぶべきなのか。難しい事だった。他にも人はいるが、キリエの視線はルーナンだけに向けられている。


「そこの君ずっとボクの事見てるけど、頭に何か付いてるのかい?」


 ルーナンが気さくに話しかけてきた。

 八つ当たりの感情だとわかった上で、キリエは質問を聞こえないふりした。


「……君の友達に勝った事が原因だろうね。すまない。それでも一人一人やるべき物の為に試験を受けているんだ」


「あちゃ〜、バレちゃってたか。キリエの名前はキリエ! よろしく〜」


「ボクはルーナン。こちらこそよろしく」


 感情は解決されないが、状況はマシになる。睨み合いになるより協力協力! キリエは表面上は満面の笑みガッツポーズ。


 グループ2はそれぞれが人とちゃんと話せている。他のチームは知らないけど、多分良い方だとキリエは思っていた。自然と雰囲気も明るくなる。

 槍を背負ったピンク髪の女の子が話しかけてきた。


「みなさーん! ちゅーもーく!

自己紹介しませんか? 全員女の子だよね?

この後お茶会とかどーー?

あ! 私はルク! ルっちゃんって呼んで!」


「キリエ! 好きなように呼んで〜」


「名前はルーナン。お茶会か……良いね。ボクも連れてってよ」


「我、メェフォ・バフォット。茶会の参加を望む」


 ルクはピンク髪が似合う元気っ子。槍にはなぜかピンクのリボン。鎧もスカートもピンクづくし。モチモチと伸びるお菓子をもちゅもちゅ食べている。緊張感をあまり感じない。


 メェフォは良くわからない。座りながら、大槌の頭の部分を抱き枕のように抱えて寝ている。黒髪の内側に灰色が乗った髪色。背丈は高いのだろう。座高だけでも相当な物だ。


「皆さんお静かに。今回の試験で監察官を務めるシエラです。頑張っていきましょう!」


 同行するランジェとしてシエラが同行する。グループ2は完全なる女子会となった。和気藹々としながらも、試験への熱意が薄い者は居ない。

 森に向かう道中も会話がどこかで繰り広げられていた。それはキリエも同じ。


「なんでランジェになろうとしたの?」


「お金が好きなのさ。ボクは」


「キリエもお金は好きだけど、でも使い道とかは……」


 森に入る直前、なんの変哲もない質問だった。

 ルーナンは悩む間もなく答える。


「欲しいから欲しいからさ! 金は自由だからな。人は不自由にも金に縛られている。逆に人を縛るなら金さえあれば良いんだよ。

キリエにもわかるかい?」


「少し……だけ? うーん」


「ちなみにキリエ(そっち)の理由を聞いても?」


 キリエは簡潔にアルクシャン村に起こった事、身の上話を重くならない様に話した。森に生える草は、少しだけ麦畑を想起させる。


「そうなんだな」


 質問した割に、興味なさそうな返答をルーナンがした。村の産業について話した時だけ目を輝かせていて、特に魔物の皮の良い売り場の事は執拗に聞いてきている。

 麦の最高の買い手なら覚えているが、収穫祭以降の村はちゃんと記憶していない。


「残念。じゃあメェフォとルクは?」


 ルクは力試しに来たと言う。なんでも、「私は強いから! どこまで強いのかなーって」との事。

 キリエは変な子だなと思った。

 大槌を軽々と片手で担ぎながら、メェフォも口を開く。


「我、友達作り。互角の実力を持つ強者を求めんと此処に」


 メェフォが不思議な回答をした。ランジェになる事、それには価値を与えていないかに聞こえる。色々な話が出たが、それぞれ目的が違いすぎて面白かった。


 ルーナンはお金。ルクは力試し。メェフォは友達作り。そして自身は故郷を取り戻さんとするサヤを支えるために。


 その後、ルーナンはシエラが商会に属する人だと会話の中で知り、ずっと質問漬けにしていた。


「シエラ教官。また今度ライさんを紹介してください」


「……あー、まぁ考えておきます……ね?」


 ライはバオックス商会の副会長と最初に一言告げている。そんな人と繋がりを持てるシエラ(可能性)を見逃さない。ルーナンは止まらなかった。


「愉快な会話は終わりだ。前方にミミキキオオカミの群れ。我、向かう」


 会話の流れを止めたのはメェフォだった。言葉は止まり、足が更に動く。群れは相当な数で構成されている。おそらく10匹前後。


 キリエ、ルーナン、ルク、メェフォは個人個人好き勝手に四方に散らばる。偶然にも方向は誰一人として被らない。


「我の一撃を受けてみろ!」


 吹っ飛んでいったミミキキオオカミ2匹をルーナンが切り裂く。この程度の問題なら問題にすらならない、そんな余裕の表示を浮かべている。


 キリエは向かってくるミミキキオオカミに直接鏃を突き刺した。ミミキキオオカミは即座に距離を取る。

 キリエは次に矢を取り出し、構える。


「一射目!」


 弦が弾かれる勢いで、空気が鳴る。

 正確無比にミミキキオオカミの脳天を貫いた。ミミキキオオカミはあと7体。

 キリエは再び弓を構えた。

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― 新着の感想 ―
読了しました!! それぞれの想い、ハイルの過去、約束など、面白い要素がたくさん出てきましたね(*´∀`*) 今後の展開がより一層楽しみになりました!! 次回も楽しみにしております(*´ω`*)
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