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魔界樹林のヴィヴァント・アポローグ(動植物寓意譚)~生き抜くために、改革します~  作者: 蒼宙 つむぎ


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11.オークと森の人③ ~これからの事を考える~

 森の人の行方が掴めず、今後の動きが暗礁に乗ってしまった。オークがいる地帯には、もう彼らはいない。連絡も取れないというのだろうか?


「あの……」


 恐る恐る、声を掛けてみた。

 ゴブリン達とオーク達が一斉に振り返り私を見つめる。


「その……、連絡はどうやって取っているんですか?手紙とか何かやり取りする方法は無いのですか?」


 彼らは私の言葉にキョトンとし、お互いの顔を見合わせ何かを探っている。というか、考えつかなかったというのだろうか?


「……手紙は?」

 オークがゴブリンに確認を取る。


「俺たちは文字を書けない。連絡は森の中にある箱(・)に石を入れておけば彼らが来るから」

 ゴブリン達は文字は書けないようだ。だから連絡の手段として箱に石を入れて、彼らに来てもらうのか……。


「って!だったら!最初からそうすればいいでしょう!わざわざオーク達のところに行かなくてもいいじゃない!」


 気が付いたら、叫んでいた。


 だってさ、連絡とる方法があるって、今言ったよね?

 それなら、まずはそうするべきだよね?

 私、変なこと言ってないよね。


「ん~。いつ来てくれるかわからないからさ。エーレちゃんは早く森の人に会いたいかと思ったんだ」


 確かに、すぐにでも会いたいって思ったけどさ。

 いや、そうだよね……。

 彼らと私は違うんだ。同じ人間でも分かり合うのが難しいのに、種族が異なるし生活の習慣も同じではない。それなのに、私は自分と考えが同じだと決めつけてしまった。

 いけない、いけない。


 前世で社会人として仕事をしていた頃の記憶を手繰り寄せた――。

 私は、前世でそれなりの年齢だった。ということは、それなりに仕事をしていたのだ。しかも残業バリバリの社畜だった。仕事をただ真面目に何年もこなしていたので、係長になっていたのだった。

 部下もいた。新人教育もしていた。自分よりも一回り以上下の子たちに指導するとき、ジェネレーションギャップという言葉だけで言い表せないほどの考えの違いに頭を悩ませていたものだ。与えられた仕事以外はしないし残業もしないという考えに、たくさん悩みどう接したらいいかわからず隠れて涙したものだ。同じ日本人なのに、違う種族なのかと思ってしまったこともあったのだ。

 その時は、どうしたのだったろうか――。


「あ……。そうか。 話をして、その人の事をもっと知ろうとしなかった私(・)が(・)が(・)い(・)け(・)な(・)い(・)ん(・)だ(・)……」


 言葉が通じるのに、何をしていたのだろう。

 年齢で考え方も違うだろうし、住んでいた地域でも異なる。勿論、家庭環境も違えば同じことだ。

 ここで大事なのは、お互いを知ろうとすることだ。



「ごめんなさい。私が自分の考えを強く言い過ぎたわ。……あの、魔界のこと、貴方たちの種族のこと、――魔界樹林のことを教えてもらえないかな」


 頭を下げ、彼らと対話を願った。


「えっと、まず自己紹介するね。


 私はエーレ。人間界にいたんだけど、事情があって魔界に逃げてきました。名前も本当の名前じゃないの。ちょっとね、人間界の自分の親族に見つかりたくなくて……。

 年齢は十歳。

 あの、迷惑いっぱいかけているってわかっているの。でも、お願いします。私は魔界で暮らしていきたいの。だから、助けてください。何か役立ることが出来るかもしれないから。駄目、かな?」


 今言えることを隠さずに話した。それをどう彼らが受け取ってくれるかはわからない。



 私は彼らの顔を見回した。顔色は、わからない。赤くなり青くなったりはしていないと思う。

 表情も怒っているようには見えない。

 彼らはお互いの顔を見、お互いの考えを探っているようにも見えた。



「私らオークの女たちはエーレちゃんを保護したい」


 オークの雌達――お(・)か(・)ん(・)――は迷わずにそう言ってくれた。彼女たちは私をぎゅうぎゅうと抱きしめ、頬ずりをしてくれる。


「ッ……」


 言葉が出なかった。なんというか、胸に熱いものがぶわっと溢れてくる感じが半端なくて、目が熱くなった。


「俺たちもだ。こんなめんこい子どもをほっとけん。それに、とても頭がいいと思う。よかったら俺たちの集落でしばらく暮らしたらいい。どうだ?」


 オークの雄がそう言ってくれた。前にも聞いたが、どうやら本当に面倒を見ようと思ってくれているようだ。

 いかん。ちょっと涙が出ちゃったよ。


「俺たちもだ!その、エーレはもしかしたら俺達ゴブリンと夫婦になれるんじゃないかと思っている。な、エーレ。俺が新しく長になることになったら、嫁になればいい」


 ……。いや、嫁にはなりたくないかな。

 面倒を見ようとしてくれている気持ちは――、まあ、嬉しい。

 けれど、長の嫁って……、あれでしょう?

 いわゆる、ハ(・)ー(・)レ(・)ム(・)、だよね?


 それぞれの考えを聞いて、ほ(・)ん(・)の(・)少(・)し(・)だ(・)け(・)思案した。

 勿論、答えはすぐに出たけれど。



「えっと、私、オークさん達のところでいろいろ教わろうかと思います」


 右手人差し指を口に当て、コテンと首を傾げて、子供らしく可愛く言った。

 だって、ゴブリンのハーレムに加わりたくないもん!


シルバーウィーク、いかがお過ごしですか?

台風、大きいのが来ています。

皆さんが被害にあわれないことを願っています。


出来たらこの連休中にもう一話投稿できたらと思っています。

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