第7話 市川博士のタイム・ケーキの巻
科学技術省第七ステーション カフェ・オライオン
午後3:40
ひとりの男がカフェに入ってきた。
手に綺麗な花が描かれたケーキボックスを持っている。
市川康治博士であった。
「はーい、お元気?
皆さんに差し入れを持って来たよ!!」
朝倉副所長
「あなたの差し入れは災害である!」
市川
「そんなことないよ、
今回のタイム・ケーキは
ふわふわの生地にたっぷり生クリームとデカいイチゴが載ってます。
安全だということを
証明するために
僕が食べてみるね!」
カウンターから皿とフォークをもらい
イチゴケーキを皿に載せて食べ始める市川博士。
何も起きない。
アイゼル
「俺は信じない!
もうイチゴショートケーキは購入している!」
アイゼルは読もうと思っていた古書を執務室に忘れて来たので
取りに戻る。
市川博士
「ほら、なんともないでしょ!!!
美味しいし、イチゴもデカいよ!」
欧陽博士
「確かに美味しそうだ。
私も一つもらうアルね」
朝倉副所長
「なら、私も一つ」
竜崎主任
「俺ももらうかな」
市川博士
「テイラー博士のショートケーキも
取り替えてあげよう。
こっちのケーキの方がイチゴがデカいし美味しい!」
アイゼルが古書を持って戻って来る。
和やかな休憩タイムが始まった、、、、
だが!!!!!!
30分後!!!!
皆は自分の黒歴史に直面させられていた!!!!
【朝倉副所長の黒歴史】
学会で発表せねばならないのにパワポの資料が全て逆!!!
人々のざわめき!!!
副所長真っ青!!!
何もない膝の上でパワポを逆転させる手つき!!!!
「な、なんでじゃ!!!!」
【欧陽博士の黒歴史】
やっとの思いで告白した初恋。
相手「好きとかすごい迷惑!やめて!知らん!」超冷たい返事!!!!
欧陽博士は涙ポロポロ、、、、、
「今でも胸が痛いアルよ、、、、」
【竜崎主任の黒歴史】
新人の頃に
出張先で取り出したUSBメモリに
データが全然入っていなかった!!!!!!!
通信も届かない辺境の研究所!!!!
先輩たちが1週間再現実験!!!!
みんなボロボロ!!!!
「新人の頃の俺!!!!ちゃんとチェックしろよ!!!!」
自分で自分に説教!!!!!
【アイゼルの黒歴史】
留学先のヴェガネス科学アカデミー実験施設で
凡ミスで
ラボ一つぶっ飛ばす!!!!!
「ああああっ!!!!」と叫びながら吹っ飛んでいった先輩たち!!!
指導教授のヴェネック博士の眉が思い切り吊り上がる!!
「なんであの時確かめておかなかった!!!」
頭を抱えるアイゼル!!!!
市川博士も
堆肥実験でラボを一つぶっ壊しているが
本人は超ポジティブなので
「失敗は成功の母」とか平気である。
アイゼル
「なんでタイム・ケーキを食べていない俺まで
黒歴史が!!!!」
市川
「こっちのケーキの方が美味しそうなので
取り替えてあげたんですよ!
僕って親切!!!」
アイゼル
「余計なことをーーーーーーー!!!!」
市川
「過去と向き合うのも大事でしょ?」
この後5時間みんなは黒歴史に悩まされたのである。
――なお、このケーキはその後、研究対象として厳重に封印された。
補記5
朝倉慎吾副所長
第七ステーション副所長。予算確保の名人であり、
ステーションで起こる困り事の解決に追われている苦労人。
欧陽善聡博士
魔導工学担当。帝国語にマンダリンが混じる独特の話し方をする。
技術力は高く、冷静な判断力を持つ。
竜崎一也主任
現場統括責任者。熱血で面倒見がよく、研究員たちから兄貴分として慕われている。




