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解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
第二部 オーバーキルと宝石と

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95/95

94 アクシデント遭遇率80%

本日、92&93話と94(この話)を更新しております。


明日は昼一回更新の予定です。

「セルフィ、依頼書よー。”氷雪の鷹”に渡してくれって、ギルド長に頼まれたわよ」


 アリスさんが依頼書を持ってきて、私に渡す。


「やっぱり”氷雪”はセルフィ選任になったわね。私は間違ってなかったじゃない」


 アリスさんはフフフと意味ありげに笑う。そんな事を言われた事も有ったね。


『こいつらは随分と時間の無駄をしていたぞ』


 そんな風に言わなくていいじゃないか。

 その時に、ギルドの入り口が騒がしくなった。

”氷雪の鷹”は前回のレッサー・ドラゴン討伐の功績で、Sランクに昇格した。だからと言って彼らの態度が変わる事はないのだけど、どことなく気後れする部分は有る。


「聞いていた依頼を受けに来たよ」


”氷雪”を代表して、イクリスさんが手続きをしにくる。平常心平常心。ステイだぞ、自分。


「依頼書、受け付けました。お気を付けて行ってきて下さい」


 依頼書に判子を押して受領する。

 イクリスさんはこそっと顔を近づけて「行ってきます」と言った。私がぼーっとしていると、隣でアリスさんが、足をジタバタして小声で叫んでいる。


「甘~~~~い!!」


 楽しそうにモダモダしているアリスさんを見て、ベルジュは半目で見る。


「この女子(おなご)はどうしたのだ?何か苦しいのか、ジタバタしおって」


「違うよ、ベルジュちゃん。恋愛の気配が無かったセルフィがそういう風になるのが可愛いんだって!」


  アリスさんがの目が若干血走っている。

 アリスさんにも困ったものだ。しかし、ずっと窓口業務をやっていただけあって、すぐに切り替えて仕事に戻る。流石にプロの窓口嬢である。


 


 

そうして一日が終わってから、今日も”朝霧のワルツ”で吊るしあげられるかと思ったら、大好きな役者の出る観劇が有るとかで、ウキウキで更衣室を出ていった。


「アリスさんは忙しいなー」


 私も、のんびり着替えてから更衣室を出る。今日は月の明るい夜だ。夜なのに長い影が足から伸び、知らずに足も軽やかになる。今日はご飯を作るのが面倒くさいので、1人で”朝霧のワルツ”に入る。

 この店は女性一人でも入りやすいので、いいんだよね。


 カウンターに座ると、ピーチの果実水と、サラダを頼み、サーモンのクリームパスタを注文。ここのパスタ美味しいんだよね。女性用に、少し量が少なめなのも嬉しい。デザートも胃に入りやすいからだ。私は生プリンを追加した。


 お腹がいっぱいになった所で会計をし、のんびりと家路につく。


『お前は良く食べるな』


「デザートは別腹なの」


 ウォーキングは続けているので、少しのカロリー摂取は許される筈だ。夜の空気を胸いっぱい吸い、家の方向へ足を向けた。


 そこで、先日のような女の人の悲鳴が聞こえる。


「キャアアアー!」


 この声は…………。


 私は声のした方へ、ひた走る。その場所には予想通りと言えば予想通りに、倒れたアリスさんにヴァンパイアが牙を刺している現場だった。ごくりと喉が鳴るのを見て、全身の毛がブワリと逆立つ。


 しかし、ここで躊躇していればアリスさんの容態が悪くなるかもしれない。出来る限り早く追い払わなければ。今回は対処するような装備も無いし、”支配の王笏”も家だ。ここで頼りになるのはベルジュだけである。


「ベルジュ、シールドぶつけて!」


『やれやれ、アーティファクト使いが荒いな』


 ふうと息を吐くような仕草をすると、シールドがヴァンパイアまで飛んで行く。命中するかと思いきや、沢山の影になってそれをやり過ごした。その姿すら掻き消えたかと思うと、私の耳元で艶っぽい声がした。


                                    

《美しいお嬢さん、あなたも私の餌になりに来たのですか?》


 ねっとりとした声に、おぞけが走るが、私にはベルジュがいる。ベルジュが間髪入れずにシールド叩きこむと、ヴァンパイアが家の壁にめりこむ勢いで吹っ飛ばされた。

                 

《何ですか、その汚いぬいぐるみは》


 失礼な、私はベルジュをきちんと洗ってるよ。

 ヴァンパイアは髪の流れを直し、パンパンと服を叩いている。


『ワシはぬいぐるみなどでは無いわ、高貴なるアーティファクトなるぞ。たかだか1000年も生きていないような傲岸(ごうがん)な若造が、ワシを愚弄するか』


 カッとベルジュの手が光ると、ヴァンパイアから、黒い霧がベルジュに引き込まれていっている。これは呪いの力を吸い込んでるな。


《くっ、何ですか、こんな力はありえません……》


 それは、絶対的敵下位の動物を前にして怯んだ姿であった。


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