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解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
合同探索・遺跡ダンジョン

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87 やっぱり恋だろう

明日は昼過ぎ~夕方に更新します。

 休憩を挟む事二晩、ようやく地上に帰って来た。

 空気の美味しい事、美味しい事、生き返る~!


 地下では、イクリスさんに抱きかかえられた後に寝落ちと言う、無様を晒したので、顔が見れない。


 ご迷惑をお掛けして申し訳ない限りだ。お姫様抱っこでキャンプ地に運ばれるとか、女子の憧れ的なシチュエーションだったが、イクリスさんの顔が至近距離に有って、平常心でいろと言う方が難しい。


 ギルド長への説明は、イクリスさんとアルファさんがするという事で、私は家に帰らせてもらった。家の近くまで来ると歩くスピードをあげ、自分の部屋に飛び込んで鍵をすると、マッハで風呂場に直行する。今回も砂っぽかった。着ていた服も砂でジャリジャリになったので、即、洗濯だ。ランドリーボックスへシュート!


 

 シャワーを浴びた後に何か食べようかと思ったけど、長期で家を空ける時にパンが有る訳でもお米が炊けているわけでもない。かと言って、今から買いに行くのも面倒くさい。


 帰りに何か買ってくれば良かったけれど、その気力も無かったので、何かが無いかと台所中を探す。幸いクルトンが有ったので、冷蔵庫に有ったチーズとコンソメで、クルトンを大量に使い、パンがゆのような物を作った。

 ちょっと病人食っぽいが、今の私はそれ以上の物を作る気力は無かった。


 パンがゆを火をかけている間に、埃にまみれたベルジュを洗う事にする。


『この無作法者!アーティファクトは汚れてても死なぬ!』


「元々死なないでしょ。ベルジュが死ななくても、私の部屋が埃っぽくなるのは嫌なの!ほら、観念しなさい!」


『やめろ!また台所で洗濯バサミで吊る気だろう』


「当たり前よ」


 素早く動くベルジュと格闘する事10分。ベルジュのもみ洗いが終わった頃には、パンがゆは少し焦げていた。その夜のご飯は涙と焦げで、しょっぱ苦かった。



 その後は12時間布団で熟睡して、お腹が空いて目が覚めた。昨日はパンがゆだけだったから、すぐに消化してしまった。そりゃ、お腹も減るよね。今日こそ買い出しに行こう。


 家の中に、食料品が全く無い。長期間家を空けるから、生鮮食品は片付けちゃったのよね……。幸にも、マイ・マジッグバッグを持っているので、食材を買って歩いても重たくならない。少しずつ鞄に入れていたら、マジックバッグだと誰にも気づかれずに多くの荷物を持つ事が出来る。


 マジックバッグを持つ他には、久しぶりに普通の服で外に出る。最近はずっと遺跡に入ったりするので動きやすい服装ばっかりだったから少しラフな格好にしよう。


 今日の私はオフショルダーのクリーム色のニットに、下はインディコブルーのミニのタイトスカートだ。随分涼しくなったな。



 歩いて20分の市場に寄り、片っ端から食料品をバッグに詰めていく。時間経過が無いので、暫くバッグへ入れっぱなしでも、物が腐らない。食料の保存にピッタリである。


 パンよーし、お米よーし、野菜よーし、小麦粉よーし、バターよーし、お肉よーし。

 これで、当分は困らないだろう、いざと言う時にもバッチリだ。



 一休みしに、オープンカフェに入る。秋を感じるが、風が無ければまだ十分に温かい。風が吹いてたらオフショルダーの服なんて着れないけど。


 カルボナーラとアイスの無糖カフェ・オレを頼み、久しぶりにのんびりと平凡な日常を噛みしめる。そう、この所は私の日常からかけ離れすぎていた。この安定した退屈すぎる生活の方が私にはお似合いなのである。


 季節によって木の葉は色づき、何とも風情が有る。まるで美術館の中の風景画のようだ。


 目を瞑って感じ入っていると、後ろから声を掛けられる。


「あれ、セルフィさん」


 どきり

 後ろをソロリと振り返る。


 そこには、今顔を合わせたら(一方的に)気まずいランクキングNo.1のイクリスさんが居た。


「こ、こんにちは」


「セルフィさんは買い出しかな。相席いい?」


「ど、どどど、どうぞ」


 イクリスさんは、さりげなく向いに座り、アサリとイカのトマトパスタを頼んだ。トマトソースを見ると、服に飛ばしてしまわないかドキドキする。


 そしてイクリスさんを見ると、私がドキドキする。


 お姫様抱っこの事を思い出して、顔が熱くなりアイスカフェ・オレを一気飲みする。ふぅぅぅ。


「ゆっくり飲んだ方がいいよ、大丈夫?」


 そう優しく微笑まれると、ハートを撃ち抜かれて、致命傷である。

 だいじょばないです!


 もうアレだ。

 アレですよ、アレ。


 認めるしかない。


 コレはアレだ、恋ってやつだ。

 そう、認めるしかない。


 王都で人気者の彼を好きになってしまったらしい。しかも、ガッツリ避けてた冒険者の。

 全く想定外だ。私だけは平気だと思ってたのに!ナユさんに告白された時には恋愛は考えてないって断ったのに、何で今更。


 私がテーブルの下で足をジタジタしてるのを、知ってか知らずか、イクリスさんは普通に話しかけてくる。


「報酬の分配日は明日だっけ?」


「そうですね、一応そう聞いてます。今回は大掛かりな依頼だったんで、沢山報酬貰えるんですかね」


「セルフィさんは、貯金派?宵越しの金は持たない派?」


「何ですか、その派閥。私は今、貯めてるけど、いつかドカンとお金使いたいです」


 ぽんぽんとテンポ良く会話出来るのが心地好い。こういう所が良いんだよねぇ。


「へー、どんな買い物するの?」


「最終的には、やっぱり家ですかね」


 ぴしり。


 何故かイクリスさんは固まってしまった。

 え。

 私、何かまずい事言った?


 時が経つ事、約1分。ようやく彼は意識が戻ったらしい。


「はは、そうなんだ……?」


「やっぱり持ち家って夢ですよね。私にはベルジュが居るんで、賃貸だとうるさいですし中々難しいです」


 呪いの兎と一緒に住んでも良い人って居るのかな……普通避けるよね。


 ふとベルジュを見ると、椅子に置いてある鞄の上で真剣に刺繍をしている。

 通りで静かだと思った。

 ……上り竜とか刺していて、最近どんどん題材が高度になって行って感心する。いっぱしの芸術家だよ、君。



 食べ終わってからアイスティーをお代わりして、しばし談笑し、店の前で別れた。喋ってる時は楽しいけど、ドキドキもする。この、ままならない気持ちに困惑する。


 明日も普通の顔出来るかな……。


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