85 地底決戦 Side:イクリス
昨日の夜に投稿しておりますので、一話戻ってどうぞお願いします。
短いので、夜にもう一話あげますね。
セルフィさんが折れた剣から弱点を”解析”してくれ、ドラゴンの頭の方へ向かう途中でチラリと様子を窺うと、彼女が目から血を流し、片膝をついているところだった。
セイカが付いているとは言え、駆け寄りたい気持ちでいっぱいだ。今まで何度か目にした光景だったが、スキルで目を酷使しすぎると、一時的に片目が見えなくなるらしい。傷はセイカが治せるが、スキルで眩んだ目は、すぐには戻らないそうだ。
視力もまだ戻っていないだろうに、早々に”支配の王笏”を構えている。正直言うと、休ませてあげたいが、彼女とベルジュは今回の討伐のキモだ。俺が個人的に「休んでいて欲しい」と言えるわけは無い。
元は尾の付け根に居たので、頭までは20m程。考えを振り切るように、ひたすら頭を目掛けて走る。
レッサー・ドラゴンの顔の前でヘイトをとっている”放浪”の二人に目で合図を送ると頷かれた。先ほど合流したサーリャに話は聞いたはずなので、こちらの意図は伝わっているだろう。先ほどより更に気合を入れてヘイトをとっている。
顔の少し後ろから、セイカにかけてもらった”跳躍”を使って、ガイアスと頭に飛び上がると、安定感が悪いそこを、頭目掛けて走る。
レッサー・ドラゴンは、セルフィさんとベルジュの拘束から逃れようとグルグルと唸りながら首を振っている事も有って、頭に行くのも一苦労だ。しかし、束縛が無かったら、とっくに放り出されていただろう。
自分の鎧の脇に準備しておいたフックを腰から出し、紐を角にぐるっと回し体をある程度固定して、頭から振り落とされないようにする。体を固定しないと、魔術師も巻き込みを恐れて、牽制の為の魔法も狙いが定まらなくて使えないからだ。
足場が悪いながらも辺りを見回すと、確かに言われたとおりの場所に一枚だけ逆さに生えた鱗を見つけることが出来た。
「ガイアス、これだな」
「ああ」
目で合図をし、一斉に振りかぶって鱗を攻撃する。
ガツン!と手に痛みが響いたので見てみると、鱗が確かに欠けていた。レッサー・ドラゴンにとって余程衝撃だったのか、体がビクンッとした後に、体を捩って暴れだす。
城からの騎士も比較的柔らかな腹側を攻撃していたが、体を激しく動かすドラゴンに対処しきれずに手をこまねいている。
実際に動けているのは俺達と”放浪”だけなので、実質2パーティーだ。あまり長引かせると、人的被害が大きくなってしまう。急がねば。
剣も砕けよとばかりに逆鱗に攻撃を加えると、少しずつそれが欠け始めた。しかし、それに呼応したように、ドラゴンの抵抗は激しくなっていく。いくら角に体を固定してるとは言え、ここまで暴れられると、こちらも中々狙いが定まらない。
ドラゴンはひとしきり首を振ると、束縛から逃れようと、一気に強く引っ張る。
グンッ
「きゃっ……!」
レッサー・ドラゴンが大きい動きをしたために、視界の端で、セルフィさんが倒れ込んでいた。
まずい、束縛が緩んでしまう。
「ガイアス、集中的にどんどんやるぞ!」
「おう!」
冷や汗をかきながらも、剣で鱗を何回も砕き、衝撃がガンガンと手首に伝わってくる。それにしたがって、どんどん亀裂が入り始めた。
もう少しだ……!
レッサー・ドラゴンは、ずっと竜巻のようなゴウゴウとした叫び声をあげていたが、それが断続的になって来た。
「最後だ!!」
大きく振りかぶって、力いっぱい鱗に剣を叩きつけると、今度こそ鱗が粉々に砕けた。欠けた鱗が粒子になって宙を舞った。
グォォォォォォォン!!
ドラゴンが苦悶の声を上げる。
その大きく開けた口の中へ、魔法使い達が持てる限りの雷魔法を叩きこむ。雷が束になって、合流のようになって口へ吸い込まれていった。
辺りに焦げ臭い臭いが充満する。
体が崩れ、ドォンと体が横倒しになった。ビクビクと体が痙攣しだし、それも小さくなっていく。
「終わったか……?」
汗をぬぐいながら地面に降りると、ドラゴンの口からは煙がプスプスと出ていた。どうやら本当に死んだらしい。
一拍置いて、どこからともなく歓声が上がった。
いつも有難うございます。
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昨日投稿した〇年前に書いたSSです。
魔王と勇者が手を取りあうお話。
箸休めにどうぞ。




