83 実戦は想定を超えてくる
明日もお昼更新です。
陽の光の無い住居跡に、朝が来る。
朝日はささないが、身支度の為に魔法使いが灯りを一段階明るくしている。
今回の討伐に来た、それぞれの人が各々の装備の点検をして、朝食を摂る事になっている。
緊張感が場を支配しているが、特に城の騎士のピリピリ感がすごい。まさか、国に仕えている自分達がこんな所に送られると思わなかったのだろう。国境沿いで魔物と戦う機会も有るとは言うけど、ここまでの大物を相手取った事は無いだろうし、冒険者と組むこともないだろうしね。
しかし、城の鑑定科でも感じる事だけど、城勤めの人達ってエリート意識でプライドが高いから、庶民である私達を軽んじてる感がぷんぷんするのだ。これから協力して戦闘しなければいけないので、足並みは揃えて欲しい。
この場で魔物に慣れているのは、明らかに冒険者の方だ。
ここの住居跡の遺跡を見つけたのは私達なのに、人数差でアウェイ感がすごい。
私がイライラしながら腕を組んで足をたしたしとしていると、ベルジュがテントからノソノソと出てきて、キヒッと嗤う。
『身分で上位下関係を築きたいなどという下賤な者共は、全く愚かだな。今も昔も浅陋で変わらんわ。分かりやすく力を見せればいい物を』
私の真似をして足を踏み踏みしているが、ちっこい兎マスコットのフォルムでは、地団太を踏んでいるようにしか見えない。私も思う所が無い訳では無いが、この戦闘を控えた今、言っても詮無い事だろう。
まさか、彼らも古代の兎マスコットにバカにされているとは思わないだろうな。
さ、私も身支度してから、朝食を食べよう。もう一度テントに戻り、身支度をすることにする。ここからは、いつもと違って戦闘に加わらなければいけないのだ。腹を括らないといけない。
ブーツを履いてマントを羽織る。腰にベルジュが離れすぎないようにと巻取り型リールを着ける。とりあえず服装だけは準備出来たが、若干食欲が出なくて無理やりモソモソとシリアルバーを水で流し込む。
あとで吐きませんように。
レッサー・ドラゴンの巣穴の前で陣形を整えると、いよいよ戦闘準備だ。洞窟の横に城の騎士と”放浪”の魔法使いとサーリャさんが控えている。
城の騎士さんがボールのようなものを奥に向かって投げている。それを風の魔法で拡散させ、サーリャさんがそれに合わせて空中に炎を誕生させることになっている。
事前の説明の通りに、耳をつんざくような大音量で粉塵爆発が起こり、空間が揺れる。
あまりの振動に立っていられなくて膝をつきそうになるが、イクリスさんが背中を支えてくれて、転ばずに済んだ。
もうもうと煙が横穴から立ち上がったかと思うと、ズシンズシンと山のような体が煙から現れた。高さは30m程か。頭から尻尾の先までは70m程ありそうだ。歩く毎に体浮くほど揺れる。想像していたよりも大きな体に、ひゅっと喉から息が漏れる。
「”鎮静”」
セイカさんが魔法を唱え、温かい手がそっと背中に触れた。
たちまち緊張が解けていき、息が出来るようになる。
すー、はー、すー、はー、深呼吸を二回。
「行こう、ベルジュ」
『おう、久々に腕がなるわ!』
私の肩で声高らかに叫び、一緒に側面へ飛び出す。
本当は体の横を挟んで反対からもレッサー・ドラゴンを固定出来たら良かったのだが、私とベルジュには30m問題があるからね……。
城からの騎士と”放浪”が、前線に出た私にぎょっとする。前衛とまではいかずとも、後衛程度には近寄らねば、私達の力も届かないのだ。もちろん本当ならこんな事はしたくない。けど、ここは涙を飲んで突撃するしかないのだ。
打ち合わせ通りにセイカさんの後ろに位置取り、”支配の王笏”を構える。
ベルジュの手からは黒い影が大量に出て絡みついていき、私の”支配の王笏”からは黒い茨が迸る。
ベルジュの方は、影から古代文字のようなものが影にまとわりついて、それがレッサー・ドラゴンに吸い込まれて行き、それによって少しずつ体が黒ずんできている。
多分あれが呪いの力なんだろうな。私の方の束縛は能力上、強くは出来ないが、ベルジュの呪いはドラゴンの口まで及び口まで縛り上げ、閉じられた口からグルグルと唸り声が漏れている。
動きが鈍った所で、”放浪”のアルファさんがレッサー・ドラゴンの前に躍り出てヘイトを取るべく気合の声を上げて切り込んで行く。
私とベルジュは巨体を揺らして抵抗するドラゴンに引っ張られ過ぎないように、束縛を強くしたり弱くしたりして調節をする。
何度か切り込むと、何かに気付いたアルファさんの顔色が変わった。
「おい!!」
大きな叫び声が辺りに響く。
「こいつ、逆鱗が無いぞ!!!」
それは流石に想定外だ。
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どうせ世界が滅びるなら、魔王と一緒に冒険しよ?
すごい昔に草案として考えていたものです。長編で書きたいと思って案を出していたのですけど、並列思考出来ないタイプなので、同時に連載とか無理です。拙くて、前書きにも置けない……。
何本も一緒に書いている書き手さんの脳が欲しいです。どうやってるのでしょうか




