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解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
合同探索・遺跡ダンジョン

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80 充填と帰り道

明日はお昼に投稿します

 妖魔は完全に宝石から離れ、それと共に宝石は亡骸になったかのように白く曇った。

 ネックレスの中の魔法陣を探してみると、完全に消えているようだ。


「完全に用をなさなくなったな、これなら持っていても無害だ」


 ベルジュが見つめていたネックレスをぽいっと放ったので、私は慌ててキャッチして箱に戻す。


 妖魔は、力を半分吸い取って解放した。ベルジュに甘いと言われてもボロボロの姿に止めを刺すのは私にはどうしても出来なかった。”氷雪”のメンバーも何か言いたげだったが、何も言わないでいてくれた。


 箱の中を確認して若奥様に渡すと、涙を流してお礼を言われた。


 家門は自分達でどうにかするべきだよね、妖魔に頼ってまで命を差し出さないで繁栄させればいいのだ。



 門を出てフゥーっとため息を吐くと、ベルジュの方を見る。


「力は貯まった?」


『まだ十全とは言えんが、まあ足りるだろう。今のちんけな奴からギリギリまで絞りとってやったからな』


 ベルジュは、力こぶを見せるような仕草をする。でも、君、魔法型だから腕力関係無いよね。


「それならギルド長に報告して、上へも言ってもらおう。それで準備が出来たら行く事になるだろう」


 私はあごに手をやって考え込んでいるイクリスさんを、ベルジュをつつきながらを見る。

 

「今回は騎士とかも出るだろうな、誰が統率するのかも分からないな」





 私達は屋敷を辞すと、ギルドに戻った。ギルド長に報告すると、四日の準備期間を与えられて帰された。

今回は仕事が屋内だったので服が汚れていない。いつも鑑定科の仕事じゃないなら、毎回屋内の仕事にしてほしい。もう一つ言うなら、元の仕事に戻して欲しいが。

 今回の仕事が終わったら絶対言おう。


「なら、三日くらいは個人個人で休もうか。四日後にいつもの部屋に全員集まろう」


 全員が頷くと、各々の家路につく。


「セルフィさん」


 後ろからイクリスさんの声がかかる。


「どうしました?」


「送っていくよ」


 日はまだ明るい。送ってもらうような時間帯では無いのだが、何となく話していたくて送ってもらう事にした。




「最近、セルフィさんに頼る事多いね、冒険者じゃないのにごめんね」


「はは、お仕事の内なので大丈夫ですよ。ちゃんと上から報酬も出ますしね」


 イクリスさんが話をふってくれるが、お金の話をすると、若干笑顔が固まった。だって、報酬で大金もらえる事しか喜びが見出せないよ!冒険者でもないのに、私は名誉も名声もいらないのだ。


 私が欲しいのは、安全・安心・安定の三つだ。


「ベルジュが居るから心配はいらないと思うけど、ちゃんと守るからね」


 そのセリフに顔が熱くなる。そんなセリフを私に言うのは、イクリスさんくらいだ。


『貴様、厚かましいやつだな!ワシの契約者に手を出すでないぞ!』


 ベルジュが、肩からブンブンと耳を回転させて、拳(?)をシュッシュッと交互に出す。魔法を打っていないのでほっとする。そうでなければ、有名Aランクパーティー・リーダーを街中でぶっ飛ばすと言う、地獄絵図が繰り広げられてしまうところだった。


 「ベルジュッ」


 肩でいきり立ってうるさいので、首根っこを掴んでポシェットに入れる。今日の鞄は皮なので、ボスボス出来ない。しかし、カタカタはしているので、目障りにならないように背中側に回す。


 館がアパートから然程離れていなかったので、20分程歩くとアパートに着く。


「コーヒー、飲んでいきますよね?」


 階段の上でイクリスさんが怯む。でも、送ってもらったんだから、手ぶらで返すのも決まりが悪い。


「セルフィさんて、ホント……」


「?」


「いや、いただきます……」


 ソファに案内してから、自分もポシェットを机におろすと、鞄の蓋がバーン!と開く。


「¥:;@^Q69RQ3@P*!!!」


 怒りすぎているのか、何を言ってるのかも聞き取れない。うん、放っておこう。


「どうぞ。昨日、同僚がクッキーをくれたので一緒に食べてくださいね」


 イクリスさんは、どこか落ち着かない感じであったが、一応コーヒーを全部飲んでくれた。今日は上手く淹れられなかったのかな?


「今度は城の騎士も一緒に行く事になると思う。レッサー・ドラゴンを冒険者パーティを数パーティー入れただけじゃどうにもならないからね。多分、ベルジュの呪いの力と、セルフィさんの”支配の王笏”が鍵になると思う。或る程度近づかないといけないから、俺の後ろに居て欲しい」


 イクリスさんの真摯な瞳が私を射抜く。緊張を感じて息が止まり、身動きが出来なくなる。


 緊張を先に解いたのはイクリスさんで、飲み終わったコーヒーをソーサーに戻した。


「コーヒー有難う、また次に会おうね」


 ドアから出て行くイクリスさんをぼーっと見送った後に、力が抜けてソファに座り込んだ。


「これは困った……」


 天井を見上げて私はため息を吐く。同じ頃にイクリスさんがため息を吐いてるのも知らずに。

80話まで来ました。ビックリです。

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