70 コードは twin cam
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次は明日の夕方更新になります。
「そう言えば、こんなに蔵書が有るのに、何で住居跡が無いんですかね」
私が石碑近くで作ったスープを飲みながらぼそっと言うと、皆が一斉にこちらを向いた。
これは、余計な事を言ってしまったかな?
「確かにそうですね。ここの遺跡ダンジョンの石碑までは、ほぼ天然のダンジョンです。それがここに来ていきなり未来的になるのも可笑しな話ですね。蔵書の有る部屋のみと言う事は無いと考えるのが普通です」
「本が沢山あるのを見て興奮していて、そこまで思い至りませんでした」
職員さんが、ざわざわし始める。
やっぱり、余計だった……。
見た感じ分からなかったが、さっきみたいに隠し扉があるのかもしれない。結局シーフさん任せになるのだ。思わず私はシーフさんを縋るように見てしまう。
お願いです、助けて下さい。私が悪かったです。
シーフさんは短い茶髪をガシガシかくと、「はーっ」とため息をつきつつ、嫌そうに言う。
睨まれているが、私は視線を逸らせて回避する事にした。
「これだけ広いと、時間かかるぞ?それでもいいんならやるが……」
碑文の扉の次から3回ドアを潜って来たので、その内のどこかに有るかも知れない。
私的にお通夜のような昼食タイムが終わると、シーフさんは”放浪”の仲間を連れて、ドアから出て行った。
ふう、気まずい視線から逃れたぞ。余計な事を言った自覚は有るが、いずれ調査が入る事だと思うんだよね。書庫だけなんてありえないし。でも、ごめんなさい。
その間にも、考古学科職員さんは年代別の目録を作っている。
”氷雪”と私は、碑文の扉の辺りで見張り番だ。ベルジュは何をしているかと言うと、持ってきた辞書を読んでいる。悪口の語彙でも増やしているのだろうか。器用にページをめくって読んでいる。
「ナユさんも一緒に来てもらった方が良かったですかね」
私が言うと、”氷雪”の皆が苦い顔をしながら頷いた。
「彼はあの言動が問題ありますが、腕が優れていますからね。確かに来てもらった方が良かったですね」
セイカさんがベルジュを見ながら言う。ベルジュの小さい背中を見ながら私は考える。私のスキルが道も分かったら良かったんだけど、残念ながら、そんな無敵なスキルでは無いのだ。
「ベルジュは何か分からないの?」
ベルジュに問いかけると、読書の邪魔をされた事にむっとしてる(ような)顔を見せて言う。
『ワシだとて、過去の文明全てが分かる訳では無い。資料が無ければ尚更だ。お前こそ碑文は読めるのに、何故ここの作りは分からんのだ?』
「碑文は謎解きを作っていた人が彫ってたからね。そうじゃなきゃ、彫った人の情報しか入って来なくて、碑文も読めなかったよ」
そう、碑文を彫った人が代理で謎解きを書いていたら、碑文の内容は分からなかった。
文字の解読は考古学科の人の領分だ。
雑談する事、二時間。”放浪の旅路”が戻って来た。
「二枚目の扉の横に、隠したボタンが有った。奥に有った王笏の扉と似た感じだな。考古学チームと一緒に行ってくれ。俺達は交代でここで休憩しながら見張りをする」
”放浪”がゲッソリとした様子で戻って来た。通路の広さから言って、結構な範囲になっただろう。
「了解。ご苦労様、いってくるよ」
イクリスさんが立ちあがって通路に向かう。ベルジュも当たり前のように肩に乗ってくる。辞書も仕舞わないとな。結構重いんだよね、鞄にいれたら重さは関係ないんだけど……。
「あ、スープ有るので、飲んでおいてくださいね。では」
私も慌てて後を追う。私って必要か?とも考えたが、ベルジュが役に立つかも知れないから、一応付いていくことにする。
考古学科の人を二人連れて言われた場所に向かう。
「ここか……」
イクリスさんが立ち止まったので、彼の後ろから覗いてみると、確かに先ほどは無かった道が壁にぽっかり空いている。セイカさんが魔法の灯りを灯して、遠くに飛ばす。どうやら、先は長い長い廊下なようだ。
”放浪”のシーフさんは、どこまで調べてくれたんだろう。入り口までで、奥まで調べていなかったら途中にトラップが残っているかもしれない。しごできであってくれ。
私が覗き込んでいると、前をいるイクリスさんが降り向いた。
「……?」
私を顔を見ていたかと思うと、私の手元に視線を移す。
「!!!!!」
なんと、私はイクリスさんのマントの裾をシッカリ握りしめていたらしい。
「ご、ごご、ごめんなさい」
「いや、良いんだけど、戦闘になった時に危ないから」
「そ、そうですね」
私はパッと手を離すと、斜め掛けの鞄の持ち手を握り直す。
『何をやっているのだ。お前たちは』
ベルジュがヤレヤレと言った感じで言っているが、その通りでぐうの音も出なかった。




